第5章 うなれ体育祭
今度は直接地面に触れ、コンクリートの形状そのものを変えていく。今までのコンクリを投げるだけの作業よりも段違いの操作量。私の限界にぐっと近づくけど、爆豪君が爆破しても仕切れない柔らか素材に変えたから時間稼ぎにはなる。
「うっぜえなああそれ!!!」
切島君のときに見せた連撃じゃなくて、お茶子のときにやった広範囲攻撃。一瞬で私の作った壁は吹き飛んだ。
でも、真正面に掌を向け、爆煙で視界が悪くなって目視だけで私を探すのに必死な爆豪君。いくら貴方が天才的なセンスと反応速度を持っていても、真正面から来るなん理解できないでしょ?
「爆豪君、捕まえた。」
真正面に、まるで差し出すかのように出ている右の掌に指を絡めしっかりと握る。その上にさっきの操ってたコンクリートをセメントに還元して、彼の手首と私の手首が離れない様に拘束する。
「あ”!?何のつもりだクソ!..は!?」
「こんあ状況じゃなかったらもっと喜ぶべき案件なんだけどね。“右手で爆破が使えない”でしょ?貴方の攻撃手段を一つ減らさせて貰った。爆豪君が爆破させようものなら無効化(ディザティバツィオ)するわ。」
「ええ!?なんで恋人繋ぎ!?こんな所でいきなり青春謳歌しちゃってる!?」
こんな状況じゃなきゃ、浮かれながら爆豪君と手を繋いだ事は思い出として残るだろう。こんな状況じゃなきゃね。
「テメェ、それで俺に近接戦挑むなんて自分で不利になって行ってんじゃねぇかよ。」
「誰がこの状況を私が不利だと決めたの?全て私の作戦通りに行ってるって考えられない?」
嘘だよ、確かに不利だ。爆豪君の攻撃手段を封じる代わりに、私はそれに意識を集中させなきゃいけない。このまま爆豪君と私を持ち上げて場外に出ることも出来ない。つまりは、どちらかが倒れるまで終われない選択肢。近接戦でまだ左手の残ってる爆豪君はいつでも爆破可能、私は右を警戒しつつ左を防ぐ。やることが多いんだ。
「爆豪君に勝つ!私がこの世界に認めて貰う為にここで勝たなければならない!!」