第5章 うなれ体育祭
「よし、早速始めちゃおう!」
「おー。んで、具体的に俺は何をしたら言いわけ?」
「ちょっとここで今放電してみて、出来たら自分の肩幅ぐらいの規模で。」
「オーケー、任せな。」
上鳴君は肩幅に両の手を広げて、放電を始めた。私はそれになるべく手を近づける。しかし、その電気が私の思うようには全くならず、発動条件を満たしていない。
「よし、次!」
今度は私の個性で磁力の塊を作る。今度はそれめがけて放電してもらった。私は、磁力の塊に当たった後の電気を操作するように意識を集中させる。すると、今度はしっかりと発動した。
「うーん、やっぱりか~。」
「お、?何か解った感じ?」
「前にも話したと思うんだけどさ、私って触れたものを原子レベルまで操れるって個性なんだけど、その発動条件が曖昧だったの。」
「というのは?」
「私が触れたのが“物”だった場合は解り易いけど、普段は掴んでいなくても空気中には触れてるじゃない?でも、勿論全域に私が触れているわけではない、けど空気中に舞っているものは全て操作できる。
さっきの上鳴君の電撃は、上鳴君自身が他の対象物に向けなかった、つまりは“上鳴君の電撃”だった。でも、次に他の物にぶつけてからの電気は操れた。それは“上鳴君が所有してない電撃”へと変わったから。」
「んんん?」
「えっと、操る対象が誰の物でもないものであれば制限がないって事かな?上鳴君から放たれた電気って、その後操作したりとか出来ないんでしょ?出しっぱなしになった状態のものは操れる、って事かな。」
「なるほどな、解った!多分!」
少々の苦笑いを浮かべてて、本当にわかってるのかなって心配になる。
「あ、そうそう、原操。俺もお前の頼み聞いたから、俺のも聞いてくれよ。」
「うん、いいよ。何パシられてこいとか?」
「違ェよ、あのな.....」