第1章 タイムスリップ⁈
「ここに主権が国民に存することを宣言し、
この憲法を確定するーーー」
「流石、真谷だな。座っていいぞ。」
そう言われて、着席する。
中学3年、社会の公民の授業で、
私は日本国憲法の前文を諳んじて見せた。
すげぇ、バケモンかよ。
そんなつぶやきが、クラスのあちこちから聞こえる。
私は、再び話し始めた先生の方を見ながら、
なんでもないことのように頬杖をついた。
内心は、いつボロが出るかとビクビクしながら。
この前文だって、昨日覚えたばかりだ。
でも、そんなこと、誰にも言えない。
みんな、私のことを
なんでも知っている天才のように思っているから。