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ベゴニアの花束を君に

第1章 【太宰 治】夜の職場とふたりとコーヒー


「じゃあお先に失礼しますね」

にっこりと笑って賢治は椅子から立ち上がった。

「ええー!賢治くんも終わったの!?」

「はい。朝から作業してましたから。」

そう言いながら壁にかかった黒縁の円形時計を指差す。

時計の長針と短針はセットで午後5時を指していた。

「私まだ終わらないんだけどー!」

「お前が真面目に仕事しなかったからだ。」

嘆く太宰の頭上を国木田は丸めた資料で叩いた。

「国木田くーん、これちょっと量が多すぎない?」

「休憩を挟んでも午前からきちんと取り組んでいれば終わる分だ。」

「私だってちゃんと仕事しようと思えばできる人間だよ。
しかし完全自殺法記載サイトの更新があればチェックするのが当然だからねぇ」



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