第3章 君の幸せ笑顔[アバ そらちぃ]
白く大きな扉が開き、白いドレスを着た美しい女性が入場する。
彼女は俺の小学校の頃からの想い人。
そんな彼女と何か一緒にしたいと思い中学の時彼女以外の人も集めアバンティーズと言う名前でYouTubeを始めた。
今では有名になったが彼女はもうそのメンバーではない。高校卒業後大学に通い勉学に励むため脱退を決めた彼女。だがその後も連絡を取り合い都合が合えばご飯等に行き、何だかんだ仲良くしていた。
今日は人生で一番の晴れ舞台である。
拍手がなり響く中、彼女は照れながら軽く会釈をしステンドガラス前の台へゆっくり向かっていく。
俺は彼女ただ一点を見つめていた。
_____ゲスト席で_____
いつも美しい彼女、今日はいつもより美しいと感じる。
でもそれは抱いてはいけない気持ちなのかもしれない。
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「誓いの言葉」
「新郎新婦夫婦共々助け合い愛を分かち合うことを誓いますか?」
「ちょっと待ったー!」何て言う勇気はない。あったとしても言わないだろう。
彼女はお互い愛を育んだ相手と結婚する。俺の一方的な愛なんてちっぽけな物に過ぎない。
「誓います。」
彼女は笑顔で言った。
聞きたくなかった。でも彼女の幸せ笑顔が見たかった。俺はそれが好きだから。
新郎新婦は指輪の交換をし次は誓いのキス。
俺の触れたことがない彼女の唇。
俺の方が彼女と過ごしてきたはずなのに。
俺の方が彼女を知っているはずなのに。
心が痛かった。
こんな想いをするくらいなら来ない方がよかったかもしれない。と思いたくない事を思ってしまう自分が嫌いだ。
司祭が新郎新婦の手に手を重ね祈り、
彼女の結婚が成立した。
こんな気持ちで俺はここに居ていいのだろうか。
そんな悩みを持ったまま結婚式は幕を閉じ、披露宴に移る。
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歓談。新郎新婦と話ができる時間。
少し軽く華やかな衣装に着替えた彼女も美しかった。
彼女は俺に気付き近ずいてきた。
「そら、来てくれたんだね!」
「うん、結婚おめでとう。」
笑顔で言った。そしたら彼女も笑顔で「ありがとう」と言った。
俺はそれでいいんだ。彼女が幸せならそれでいい。