第2章 星降る夜 遊木真
「すごかったね!」
真くんは嬉しそうに言った。私も首を縦に振った。
「あんなに綺麗に見えたの、初めてだよ。」
「流星群……毎年見てるの?」
「うーん、たまにニュースで見たときね。」
彼はまだ空を見上げて余韻に浸っていた。
私は彼の視線を追って空に再び顔を向けた。
「僕達trickstarが初めて集まったときも、星が綺麗だったんだよ。」
「……………」
「懐かしいなぁ。」
真くんがその時に思いを馳せる。私は何も言えずにいた。
まだ目に焼き付いたあの流れ星を、もう一度人差し指で空に描いた。
すると
キラリ、とひとつ流れた。
ほんの一瞬だった。
「………?あれ、今の……」
真くんは驚いている。
が、私は不思議とそれを受け入れていた。
「追いかけてるんだよ、きっと。」
笑ってそれが言えた。
「……………うん…うん、そうだね!」
真くんは力強く答えた。
「ありがとう、ちゃん。何か、君と流星群が見れて良かったって思うんだ。」
「私も、そう思う。」
「そっか、何でだろうね。」
私はさっきの置いてけぼりの流星を思い出した。誰にも追い付けないでいる私みたいだ。
真くんは、流星に自分を重ねたのだろうか。
もしかしたら、trickstarに追い付こうと一線を引いていた自分に思いを馳せたのかもしれない。
「ねぇ真くん、私ね。皆の横にいたい。」
「うん、僕も。ちゃんと皆の横にいたい!!」
二人とも願いを口にした。
星に願いをかけることはしなかった。
星は、光を運び流れるだけだ。
そして、語りかけてくれる。
頑張りなさいと。