第6章 これが最後 天祥院英智
私は体が弱い。
「あなたもなんですか?」
病院に入院したとき、たまたま会った男の子にそれを打ち明けた。
彼は綺麗な顔をしていて、うっすらと微笑みを浮かべていた。
「僕もです。同じですね。」
その名を、天祥院英智という。
「何かのご縁でしょうし、もっとお話ししませんか?」
私達の出会いはそこから始まった。
天祥院なんて一度は聞いたことのある名前だ。有名な財閥の一つ。彼はそのことに関してなにも言わなかったので私も何も言わなかったが……。
病院内で携帯電話の利用は制限されることが多いからか、彼は“お話し”を手紙を媒介としてやろうと提案してきた。
手紙をどうやって届けるのかと聞いたら、看護師に渡せば良いと言ってきた。
「あの、これ…落とし物みたいで、届けてもらって良いですか?」
普通に男の子の部屋に『お手紙を届けてください』なんて言う勇気がないもんだから、そう誤魔化した。
二つ返事で了解してしまったが、そもそもなぜお話ししませんかなんて彼は言ったんだろう。
私と同じ………と彼は言ったか。
あぁ、それなら明白かな。
“暇”
なんだよね、入院してると。
私は面白そうだしという理由一つで手紙を書いた。
彼からの返事は、次の日に来た。