第16章 底
side 中也
白、白、白。
何でだ。何で太宰も姐さんも知らない?
何処に居るんだ?
研修って本当に…
首領なら知ってるか?
なぁ、白。
ちゃんと食べてるか?
俺以外にも本心を晒してるのか?
一杯一杯になってねぇか?
…一杯一杯なのは俺か。
なぁ、白。
早く会いてぇ。
何時戻って来るんだよ。
つか本当に帰って来るのか?
白。
白が消えて丁度一年の冬。
「全てのモノは、手に入れた瞬間に失う事が約束されている」
ある日の任務中、太宰が意味深な事を言い出した。
「なら……失うその瞬間まで大切にすればいい」
現に俺はそうした。
「……」
「太宰?」
「さっすが中也!格好いい決め台詞だねぇ。僕も次女の子を口説く時はそれ使おー♪」
嬉々として云うからつい聞いてしまった。
「……手前は白の事好きなんだよな?」
「僕は大人だからね、大切なモノの大切なモノを大切に出来るんだよ」
「んだそれ」
「中也は判らなくていいの」
「……」
最近蓮を連れてよく家に来る太宰。
「やっほー中也!」
「げ」
「すみませんっ!中也さんっ」
「あー…いい、いい。手前が謝る事じゃねぇ。…その代わり太宰は風呂掃除な?」
「泊めてくれるのかい⁉︎優しいねぇ中也は!」
「未成年連れて夜道歩かせる訳にいかねぇだろ!」
「僕達マフィア」
「非戦闘員が何云ってんだ」
「…本当に中也ってマメだよねぇ。何でマフィアなんだか」
「五月蝿ぇ。俺は首領についてくと決めた。これは揺らがねぇ」
「あっそ」
「治さん。美味しいモノ作りますから、ここはお掃除お願いします」
「はーい」
三人になったが、この時間も悪くないと思える位には良い生活だと思っていた。
それも脆く崩れ去るのだが。