第9章 私の秘密 N
「中也は悪くないっ」
必死に否定してくる。
「…噂立つ位仕事して、太宰無しであんだけこなして。頑張ったな」
「あれは、ただ太宰と離れたかっただけで」
「あれだけやるのにそれだけで普通やれねぇだろ」
「そんな風に云ってもらえる事じゃない。前から云われてて、距離を…置きたかったから引き受けて…“約束の日”までもう…」
「“約束の日”?」
ドクンドクンと心臓が嫌な音を立てる。
「…中也」
「ん?」
「…これからの事なんだけど」
「おう」
「多分、中也も私も準幹部昇進はもう直ぐ。森さんは中也と太宰の正式なコンビを目指してる」
は?何を云って、
「“約束の日”は、私の長期研修の事」
「研修って」
「離れる事になるね」
ひゅっと俺が息を飲む音がやけに響いた気がした。
「今の仕事は、その研修の前段階の練習みたいなモノかな」
「白」
「向いてるんだもん。仕方ないよね」
「何時だ」
「一年後」
「何時帰ってくる?」
「判んない」
「…そうか」
「中也」
「?」
「奪って」
「へ?」
「お願い、私を奪って」
「奪うって」
「抱いてよ」
⁉︎ は⁈何云ってんだコイツ!
「お願い、抱いてよ。奪って」
「俺、女抱いた事なんてねぇぞ」
「中也がいいの。ハジメテが何処の馬の骨かしれない奴なんて絶対嫌」
「白」
「お願いっ…」
涙目でそんなお願いするなよ。俺は、
「白、俺は人外だ」
「人外…?」
「異能制御の人格だ。いいのか?それでも」
「異能制御?」
「チョーカーの下見たいって云ってたよな?見せてやるよ」
首側面の少し後ろ。白めの肌に更に白い文字があった。
『甲二五八』
「太宰にしとけ…彼奴は一応『人間』だ」
「中也は、中也だよ。私は、中也がいいの」
!!
「…あ"ー!…もう知らねぇからな!」
強引に白の口を塞ぐ。
…手前が俺を認めたんだからな?