第3章 2年生 出逢い
「さ、入って
もう遅いし早くご飯食べちゃお」
もう何度も俺の家に来ているはずなのに玄関から動こうとしない相葉ちゃんに声をかけると、その目からぽろぽろと涙が零れた
さすがにそのままにはしておけないから手を取って中に入るように促すと静かにリビングのソファに座った
涙は止まらなそうだしきっとまだ受け止めきれていないだろうから、とりあえず何も聞かずにただ横に座って落ち着くのを待った
「…1週間前、2人を見つけたんです」
ぽつり、と話し始めた相葉ちゃんはまだ泣き止んでいないけれどさっきよりは落ち着きを取り戻したみたいで。
渡したタオルを握りしめながら声を震わせて話してくれた
「じゃあ…まだ直接話した、とかお店に入った、とかじゃないんだね?」
「はい…2人に拒否されたらって思うと足が動かなくて」
「そうだよなぁ
…でもこのままじゃどうしようも無いからさ、俺が行ってみるよ」
俺としては最善の案を出したつもりだったのに、俺の言葉を聞いた途端相葉ちゃんは思いっきり首を振った
「そんなことダメに決まってます!
もし2人に会えなくて学校にバレたら大野先生がどうなるか…っ」
「それは相葉ちゃんだって同じだろ」
声のトーンを落として真面目な表情で相葉ちゃんを見ると言葉を詰まらせてまた泣きそうな顔をする
…何で分かんないのかな
相葉ちゃんが俺のことを心配するように俺だって相葉ちゃんのことが心配なのに
「…とりあえず明日も学校がある
相葉ちゃんが元気無いと生徒たちが不安になるから今日はもう休め
泊まって行って良いから」
まだ何か言いたそうだったけど結局そのままベッドで寝かせた