第7章 アナル
「うっ、う……」
さえりは泣いていた。
「痛かったか?」
光秀の質問に、首を横に振る。
「つらかったか?」
さえりは答えなかった。ただ涙を流していた。
「さえり……」
光秀はさえりの身体を起こし、そっと抱きしめた。さえりは光秀の胸に顔を埋め、少ししてから遠慮がちに抱きしめ返してきた。
翌日。
もう、来ないかもしれないな……
そう光秀が思っていた矢先。
「光秀さん、文を届けに来ました」
さえりが失礼します、と言いながら襖をあけた。
「来たのか」
「世話役の、仕事ですから」
頬を赤らめながらも答える。文など他者に頼んでも良かったはずだ。
「昨日は、ただビックリしたんだと思います。あの、だからその……時々、少しずつなら……」
俯きながらさえりが言った。きっと相当な勇気がいった事だろう。
「わかった」
光秀はポンポンとさえりの頭を暫く撫で続けていた。