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不思議の国のモンダイジ!

第8章 チェシャ猫ルート②



【選択肢】

 ①受け止める

→②受け止めない


* * *

 私は呆然としていて、それが落ちてくるのを目で追うしかできなかった。

 間もなく落ちてきたモノを見て、私は小さく呟く。

 私はその『何か』を空中で受け止める。両手を開くとチャリ…と音がした。

「……ネコ」

 薄い紫色に着色されたストラップだった。

 先に可愛げのない表情で笑うネコの顔がぶら下がっている。


 ……でも、ちょっと、カワイイ。


 突然すぎて言葉が出ず、目を丸くしている私を見て、鈴也は猫のように笑った。

「アリス、カワイイ!」

 クイクイと猫の仕草を真似て「大成功ニャン!」と大喜びする。

「そのストラップ、アリスにあげる」

 そう言って鈴也はプリンを口に運んだ。

 ……プリン?

 改めて鈴也の手の中のモノを見る。

 それは、食後にとっておいた新発売の『とろけるキャラメルカスタードプリン』だった。

「あぁ! 私のプリン!!」

 しかも悪いことに、彼が食べようとしているのは最後の一口だ。

「あ――……」

「あぁ――」

 最後の一口を食べようとする鈴也。

 目の前の事態がショックで「鈴也を止める」という簡単なことが思いつかなかった。

 馬鹿みたいに口を開けて、私は悲鳴を上げる。

 成り行きを見守ることしかできない――と半ば諦めていると……。

「ん、むッ!?」

 口の中にプラスチック製のスプーンが突っ込まれると、鈴也はニヤリとイタズラな笑みを浮かべて、それを引き抜いた。

 同時に、舌にとろけるような甘味が広がり、つるりと滑らかなモノが喉を通過する。

 考えるまでもなくプリンだ。

「おいしかった?」

「うん……って、それ、私のプリンだから!!」

 思わず立ち上がって怒鳴りつける。

 食べ物の恨みを知れ! と怒りの念を込めてぶつけてやったが、猫のような素早さで逃げられた。

 手元に残ったのは、食べ終えたサンドイッチと半分残っているオレンジジュース、一口しか食べられなかったプリンのカラ、そして……。

 ネコのストラップだけだった。

* * *

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