第5章 ウェディングイブ
大学の講義が終わり、わたしはバイト先のレストランへ向かっていた。大学に入学してからずっとこの店で働いている。賄いも出るのでとても有難い。服を着替えようとロッカーに向かうと何やら騒がしい。
『あの、何かあったんですか?』
従業員「聞いてよ〜!しずくちゃん!今日入ってくるバイトの人がめちゃくちゃイケメンらしいのよ!」
『あ〜なるほど。道理で皆鏡と睨めっこしてるんですね…』
イケメンとか好きな人とかその手の話にどうも興味が沸かなくて中々女子の恋バナについていけない時があった。
店長「えー今日から入るスタッフを紹介する。」
店長のその一言で場が色めき立ったのが分かった。だけど、店長に呼ばれて入ってきた男を見て、わたしは、言葉を失った。
『な、んで……』
安室「今日からお世話になります、安室透と申します。よろしくお願いします。」
周りはキャーキャーと騒いでいるが、わたしはただただ動けずに突っ立っていた。