第6章 春日山城
「また会ったね姫」
『まさか信さんが信玄さまだったなんて・・・』
「俺も葉月が織田の姫だと聞いて驚いたな~」
手を引きにこにこ笑う信玄に葉月もにっこり微笑みを返した
『わたしは越後に行くと聞いたのですが
信玄さまが御迎えに来られたと言うことは
信玄さまも越後に御住まいなんですか?』
「ああ、俺と幸は謙信の城に居候しているんだ
さあ着いた知っていると思うがここは安土での俺たちの隠れ家だ」
「どうなっても俺は知らないからな」
前を歩いていた幸村はチラリと後ろを振り向いて
隠れ家に入って行った
「お帰り幸村」
「佐助!お前どこ行ってたんだよ!?」
「ああ、ちょっと野暮用で・・・」
「幸村、信玄はどうした」
「後ろにいますよ
ほら信玄様アンタがちゃんと説明してくださいよ!!」
そう言うと佐助の横に移動して静観に回った
「信長から人質を預かって来たぞ」
天女だぞと葉月の肩を掴んで謙信の前に押し出した
「お前は・・・・・・・信玄どういう事だ」
葉月を見てピクリと眉を動かしたが
それは一瞬でギロリと信玄を睨み付けた
「信長が引き渡してきた」
『織田家縁の姫葉月と申します
よろしくお願い致します』
「・・・・・上杉謙信だ」
「あの謙信さまを・・・・さすが姉さん」
「ん?なんか言ったか佐助?」
「いや、何でもない」
「佐助」
佐助と幸村は然り気無く謙信たちから距離をとり
巻き添えを食わないようしていた
『えっ?佐助?』
「謙信さまの忍びで軒猿筆頭もしてる猿飛佐助」
『はぁ?なに猿飛って架空の人物でしょ』
「うん。せっかくだからね」
『佐助は戦国ライフを
ずいぶんエンジョイしてるね~』
「そう言うそっちも楽しんでるみたいだね」
『そうでもないよ~
これから越後に人質としていくしね
でも・・・・謙信さまで良かった』
「姉さ・・・」
「おい!佐助!?」
「なに幸村?」
「ずいぶんと愉しそうだな佐助
その女と知り合いか」
幸村に呼ばれて佐助が振り向くと
冷たい眼差しで此方を見る謙信と目があった