第5章 身代わりの姫君
皆さんお久しぶり佐助です
今日は安土城へ人質を引き取りに来ています
とは言え信玄様と幸村とは別行動中だけどね
おれは天井裏から椿さんの部屋に移動中
「椿さん今大丈夫?」
「佐助君?大丈夫だよ」
返事を聞いてシュタッと音もなく飛び降りた
「元気だった?」
「うん。今日はどうしたの?」
「ちょっと椿さんに聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
今ここに彼女が居るという事は人質は椿さんではない
と言うことは五人の中のだれかだ
秀吉公は信長公の右腕で信長公を崇拝している
信長公が"行け"と言えば行きそうだが違うだろう
次に光秀公は間諜だ、いくら休戦協定を結んだとはいえ
うち以外の動きを探るためにも光秀公は必要だろう
次に家康公、おれ的には家康公が来てくれるのは嬉しいが
彼の医療技術は必須だろうなので家康公も違うだろう
次に政宗公、彼は人質には向かないやたらと好戦的だから
うちに来れば城が幾つあっても足りなくなりそうだ
最後は三成公、彼は"武将なのか?"と時々疑問に思うことがある
いつもニコニコしてマヌケ・・・いや天然なところがある
しかし彼はああ見えて参謀だし彼も来るとは思えない
なので"椿さんに遠回しに聞いてみよう"とやって来たのだ
「これから仕事で城を空けるって言ってる人はいるかな?」
「う~ん・・・そんな話聞いてないよ」
「そう」
可笑しいな、彼女が知らないだけなのか?
「聞きたいことってそれだけ?」
彼女にこれ以上聞いても無駄か
今頃信玄様たちが引き渡しを済ませだろうし隠れ家に帰ろう
「ああ、それじゃあまた様子見に来るから
今日はこれにてドロン」
音もなくパッと天井裏に消えた佐助は素早く城を出て隠れ家に持って行った
「あっ佐助君に葉月ちゃんのこと言うの忘れちゃった」