第2章 安土城下
こんにちはいや、こんばんはの人もいるかな?
急に割り込んできておまえ誰だ?とお思いでしょう
なので自己紹介しようと思う
おれの名前は猿飛佐助、戦国時代の人ではない
訳があって五百年先の未来から
この時代にタイムスリップしてきた
おれはこの時代で上杉謙信様に出会い
春日山城でお世話になっている
今はここ安土城下にある隠れ家で
敵である織田信長公の動向を探りに来ている
そうそう、おれと一緒にタイムスリップした女性が二人いる
一人は織田家縁の姫として安土城に居ることがわかった
もう一人はおれの姉
まだ見つかっていない無事だと良いが・・・
まあ葉月姉さんなら心配ないだろう
「おーい幸」
「何ですか信玄様」
「姫が帰ってこないんだが知らないか?」
「俺が知ってるわけ無いでしょうが!」
ここの隠れ家に到着したのが今日の昼過ぎ
信玄様がここに女性を連れ込んでいることを幸村から聞いていたが
どうやらその女性が帰ってこないらしい
「佐助」
「はい」
「姫を捜してきてくれるか?」
「女性の特徴は?」
「綺麗な長い髪の美しい天女だ」
信玄様も無茶を言う
いくらおれが軒猿の筆頭を
任されているからとはいえ
そんな曖昧な特徴では捜せない
「大体ここにアイツ置いとくと
謙信様に斬りかかられることになるし
出ていったんなら別にそれはそれで
良かったじゃねえか」
「幸村そう言いながら
何処に行こうとしてる?」
「さ、散歩だ!」
口では悪態をつきつつ
捜しに行こうと外に出ていく幸村
おれも一緒に着いて行く
「全くアイツ世話が焼ける」
「幸村、女性の特徴は?」
「んー・・・その辺にいる町娘と同じ様な感じ
濃い茶色の髪に茶色の瞳だ」
それでは顔を知らないおれでは
捜しようがない
まあ、信玄様が執着するぐらいだから
よほどの美人なのだろう
結局この日を境に
その女性は隠れ家に帰ってこなくなった