Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第1章 月夜に現れた紳士は【キッド/快斗】
ちゃんと理解できれば、読んでて結構楽しい文章なんだけど、単なる古文の授業だと思って読む高校生にとっては、面白くないんだろうなー・・・
「なになにー?まっちゃんはちゃんを独り占めしたくて俺らを追っ払った訳?」
そこに突然現れたのは、またも黒羽くんだった。
彼はクラスの国語係らしい。
「・・・珍しいな、黒羽がちゃんと時間前に来るなんて」
「来ちゃわりぃーかよ、まっちゃんこそちゃんと二人で何してんの」
「次の授業はを見学させるから、授業内容の確認・・・」
「マジで!じゃ、一緒に教室行こーぜちゃん!」
「えっ?あの、ちょっと!黒羽くん!」
黒羽くんに手を引かれて、強引に連れていかれそうになる。
「待て待て!黒羽、お前が教室へ持っていくのはじゃない、こっちだ」
先生は、生徒のものであろうノートの山を、バシバシと叩く。
結局、私と黒羽くんと二人でそのノートを教室に運ぶことになり。二人並んで廊下を歩く。
「あのさ、さっきは・・・悪かったな、急に大勢で押しかけたりして。迷惑だった?」
「そんなことないけど・・・ちょっとびっくりしたね」
落ち着いたトーンで話し始めた黒羽くんは、なんだか別人のようだ。
「じゃー、やっぱりいろいろ聞いてもいい?ちゃんは彼氏いるの?」
「いないよ」
「おっ!じゃー好きな男はいますか?」
「うーん・・・いる?かも」
彼氏はいないが、気になる人物はいる。
キッドのことだ。
あの日以来、あの夜の出来事を思い返してばかりだ。
おまけに意識していなくても予告状が出たせいで、テレビで一日に何度もその名を耳にして・・・その度に胸が騒ぐ。
「まさか、まっちゃんとか?」
「ないない。先生だし」
「ちゃんも先生みたいなもんじゃん」
「私の中では今も“先生と生徒”だよ」
「教師と生徒の恋はダメってこと?」
「ダメって言いたいところだけど、元生徒と教師で結婚してる人もいっぱいいるしね。当人同士が良ければいいんじゃない?」
「ふーん・・・」
口を尖らせて暫く黙った黒羽くん。
あれ、この雰囲気・・・初めてな気がしない。既視感があるというか。
なんだろう、モヤモヤした。