Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第35章 ヒミツの約束【快斗/キッド】
俺の下で、目を閉じスースーと呼吸を繰り返し始めた。
……どーやら寝ちまったようだ。
起こさないようそっと事後の始末をして、再びベッドに戻る。
可愛い、可愛すぎる寝顔を眺めながら俺もボチボチ寝ようと思ったんだが。
どーもコイツ、寝ながらムニャムニャ喋ってやがる。
始めは何を言ってんだかサッパリだったが……
「キッド…おねがい………ずっと…一緒にいさせて…」
やけにハッキリ聞こえた聞捨てならねーセリフに驚き目を見開く。キッドは俺だが俺じゃない。
どーいうことだ。
……ちっとも眠れねぇ。
美術館に侵入したあの夜、の前に“怪盗キッド”として姿を現した時の事を思い返す……
コイツが“黒羽快斗”を好きなのを十中八九分かってた上で、俺は我ながらズルい提案をした訳だ。
好きな男(たぶん俺)と仲良くさせてやる代わりに、キッドと会ったことは黙っててくれと。
その1回きりで、キッドとの接点はもう何も無いはずなんだが…何故だ。夢でも見てんのか。
明日起きたら問い詰めてやるか…?でも問い詰めた所でキッドとの間に何も無いのは明白だ……
クソ……
「は俺のモンだろー?なんでキッドなんだよ…」
つい、寝ているに声を掛けた。
すると彼女の口が僅かに動き、ボソボソと声が発せられる。
「キッドは……かいとさんに…まほう、かけたから…」
「ま、魔法…?」
「まほうがきえたら…かいとさんと…いれなくなる…」
……つまり、こーいうことか?
キッドが魔法をかけたから、俺とはイイ仲になれた……
はそー思ってんのか。
そんなもんなくても俺はのこと……好きだったけど。
まあ……自分で蒔いた種は自分で刈り取る……か。
俺は再びベッドから這い出た。