Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第4章 たまにはお外で【沖矢/赤井】
わたしの彼氏、赤井秀一は、普通じゃない。
普段の彼は仮の姿、沖矢昴に変装して生活を送っており、見た目も声も、性格までもが全く別人。
本来の姿の彼に会えるのは、夜、家のカーテンを閉めて、彼が変装を解いてから、また変装する翌朝までの間だけ。
彼だって好き好んで変装している訳ではない。
彼の変装には、世界を揺るがすレベルのとんでもない事情が絡んでいるのだ。
だからわたしもそれに関してはワガママを言ってはいけないと思ってるけど・・・
やっぱり本来の姿である赤井さんと長く一緒に居たいのが本心ではある。
今日はその仮の姿、沖矢さんと所謂デートをしに、少し遠くの街まで遊びに来た。
あまり人に合わせることをしない俺様赤井様とは違って、沖矢さんは紳士的で物腰も柔らかくて・・・
とにかく素敵な人だから、一緒に出掛けるのは好きだし、楽しい。
(赤井さんと外でデートをしたことは一度もないけど、きっとデートするなら沖矢さんの方が楽しいとは思う)
美味しいランチをゆっくりと食べて、大型のショッピングモールに来た。
ぶらぶらと歩きながら、気に入ったものがあれば買って、また目的もなく歩く。
そこで、沖矢さんのスマホに着信が入った。
「すぐ掛け直します」と言い彼は電話を切る。
「さん、すみませんが大学から至急確認したいことがあると連絡が入りまして・・・少し静かな場所から掛け直してくるので、待っていてもらえますか?」
ちなみに沖矢さんがこういう時に“大学”と言うのは、“FBI”のことである。
何か人前では話せない大事な話があるんだろう。
「はーい。じゃあ・・・そこのカフェで時間潰してようかな」
「はい・・・なるべく早く戻りますね」
ぽんぽん、とわたしの頭を撫でて、沖矢さんはどこかへ足速に消えていく。
わたしもすぐそこのカフェに入る。
コーヒーの注文をして、空いている席を目で探していると、見覚えのある顔と目が合った。
「か!」
「ヒロくんー!?えー!偶然!」
高校時代の友人だった。
会うのは成人式以来?数年ぶり、かな・・・?
出来上がったコーヒーを手に彼の傍に行く。
「ヒロくんひとり?ここ座ってもいい?」
彼の前に座り、久しぶりに再会した彼と昔話で盛り上がる。