Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第28章 手作りスイーツに下心【安室透】
ずっと“いいな”と思ってた女性と、いつの間にやらその彼女の寝室で二人きり…早々こんなことになる予定は微塵もなかった。
けど、怖い思いをした彼女を慰めたいし、近くにいればもっと触れたくなるし…それをさんが望んでいるのなら……
拒否する様子も無い彼女…一度唇を重ねてしまえば、もう止まれなくなっていた。
小さくて柔らかい唇、ほんのり赤く染まってきた頬に、潤んだ瞳…全部が可愛くて堪らない。
服を脱がしていけば現れた滑らかで触り心地の良い肌……だけどふと腕の痛々しいアザが目に止まる。その真新しさからして、さっきの男に付けられたものなんだろう……さんもそれに気付いたのか、彼女の表情はまた強ばっていく……
そんな顔はして欲しくない。
記憶も、アザも、全て塗り替えてしまえばいい。
柔らかい肌に噛み付いて、跡を残して……頭のてっぺんから脚の先、身体の隅々まで確かめる……他の男の痕跡なんて一つ残らず失くしてしまいたい。
「他は触られてないですか?全部確認しないとな…」
「ほかは、なにも…っ、あ……っ!」
ベッドに横たわらせた下着姿の彼女…綺麗な身体。スベスベの肌を撫でながら再び唇に口付ければ、切なそうに息が漏れ、顔が顰められる。
「そんな可愛い顔は…僕以外には見せないでくださいよ…」
「っん、ぁ……っ」
頬にも鼻先にもキスをして、耳元に唇を近付けていく。彼女の小説を読むに、“こうされるのが好きなんじゃないか”と思って、耳の端にもたっぷりキスして、首すじから耳の付け根の裏側をゆっくりと舐めあげれば、さんは小さな声を上げながら身体を震わせる。思った通りの好さそうな感触。
しばらく反対の耳も弄りながら、可愛い反応を愉しむ。
「…どっちの耳が気持ちいい?」
「っぁ……わ、かん、ない…ぁぁ……っ」
身体を捩らせ、恥ずかしそうに顔を隠そうとする彼女の手を取って、その指先にも何度もキスを落とす。