Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第22章 It's SHOW TIME!【快斗/真田共通ルート】
BGMの音量が徐々に絞られていく……と思ってたら急に会場内がほぼ真っ暗になり。
暗闇と静寂の中……イキナリの明転と衝撃音、ステージの真ん中に真田さんが光と音と共に現れた。
……やばい。カッコよすぎる……!!!そして近い!!!
「こんばんは。真田一三です……今夜は美味しい食事と共にマジックをごゆっくりお楽しみください……」
飛び交う女性の黄色い歓声と拍手を浴びながら一礼した真田さんが、顔を上げた瞬間、一瞬目が合った気がして。
胸がいっぱいで……私、死にそう。
「にしてもスゲー人気だな……」
「うん……」
今日の真田さんは、深いボルドー色のタキシードだ。大人っぽくってなんか色気があってすっごくイイ。
「……おい……?」
「うん……」
「ッ!」
「っえ?何?」
快斗が話し掛けてきてることに、目の前で手を振られるまで気付かなかった。
「肉の焼き加減はどーするんだとよ」
「えっ……?あっ!すみません、レアでお願いします!」
「かしこまりました」
そして知らない内にホテルのウエイターさんが横に立っていて、お肉の焼き加減の好みを聞いていたのだった。
「おめー……ほんとに好きだなー、真田さん」
「うん、好き……」
快斗の方を見ずに答えた。
コース料理がスタートして、ひとつ目のお皿が運ばれてくる。
きっと物凄く美味しい味なんだろうけど、真田さんのトーク(と、たまに快斗の話)を聞きながらだと、存分に食事を楽しむ余裕がない。
「真田さんって喋るのも上手だよねー……いっつも面白い……」
「プロのマジシャンは大概そーだと思うぜ。会話で人の心を引き付けるのも大事な技術のひとつだからな」
「快斗も喋る練習とかしてるの?」
「え、俺フツーに上手くねー?」
「意識したことなかった……あーでも、そうかも?」
たしかに、快斗っていつも会話の中心にいるっていうか、話の主導権握ってるっていうか……そんな感じだ。
先生に怒られそうになっても、大概上手く言葉でやり込めてる気がするし。
私自身も、快斗と話してるのは普通に楽しい。
「だろ?」
「うん、なんか今日は快斗のこと色々見直す日だわ」
「なんだそりゃ……」