Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第20章 飛び越えた先に【松田陣平】
「おー!コレってあん時のだよな!」
「アレだろ?陣平ちゃんが派手にやっちまったヤツ」
「これヤバかったよね、懐かしー」
現在、ハギとと三人で、昔の写真を肴に缶ビールで晩酌中。よくある、見慣れた光景。
場所もいつも通り、一人暮らしのハギの家。コイツの家が一番広いし、酒やタバコが足りなくなってもコンビニがすぐ近くだし。なんだかんだ俺達はここで過ごすことが多い。
いつもの如く、今夜も誰かが潰れるか寝るかするまで飲みが続くんだろう。
俺の人生で唯一の失敗作と言ってもいい、高校時代に作った爆弾まがいの装置の話やら、当時の担任の先公の話やらで盛り上がっていた所……見覚えの無い相手からの着信が入る。
「……あ?ニャンって誰だ……?」
「んー?あの子じゃね?この前の飲み会で陣平ちゃんのことすっげぇ気に入ってた巨乳の」
そーいや、そんな女がいたか……いや?そうだとしたらマズイ。
「おわ!やっべ!俺今日ソイツと飲む約束だった気がしてきた……今何時だ?」
「8時すぎ?」
「……もう1時間も過ぎてっ……とりあえず行ってくるわ」
あまりにもベタベタしてくる女がいたもんだから、一発くらいヤってもバチは当たんねーだろ、と持ち帰ろうとしたんだが、まさかのその日は無理だと断られ。日を改めて約束したんだったか……
別に好みの女って訳じゃない。しかし乳はデカかった。
女に詫びの電話を入れ、ソイツのいる場所を確認し、ソコへ向かう。(正直待ち合わせの場所も記憶になかった)
ハギん家を出て数分後、既に頭の中は“ヤること”でいっぱい。
女のいる店に到着し、なんとなく見覚えのある顔の女の前に座り、更に謝った。しかし中々ソイツの怒りは収まらねぇ。
こりゃ今夜のお持ち帰りも厳しいかも……
「あー、まあ、あれだな、そういや何だっけ?お前、名前」
「……ッ!?覚えてないの!?こんだけ待たせといてそれ!?サイテー!」
席について数分、俺は女に酒を吹っ掛けられた。
怒鳴り返しそうになったのをなんとか抑え……金をテーブルに置いてその店を出た。
ムシャクシャする、それに加えてムラムラする……
しかし今からその辺でテキトーな女を引っ掛けるにしても、今の俺はずぶ濡れだ。
……しゃーない。今日は帰るか。
ハギん家で風呂を借りて、飲み直すことにした。