Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第16章 ふたりの蜜月*前編【赤井秀一】
めちゃくちゃ大変だった諸々の手続きも終わり、やっと秀一さんと夫婦になれた。(わたしと彼は国際結婚の為、役所に紙切れ一枚提出で、はい結婚、とはいかなかったのだ)
アメリカにある彼の家に住み始めてしばらくが経ち、季節はもうすぐ春。
ちなみにワシントンにも桜並木はあって。その桜の開花を待つのが最近の楽しみごとのひとつだ。
「桜は、チェリーブロッサム、ですよね」
「CherryBlossomだな」
「ちぇりぶろっさん……」
「……ギリギリ伝わるレベルだな」
私の英会話能力は、まだまだ低い。こんなことになるのなら、もっと学生時代勉学に勤しめばよかった!と何度も思ってる。
このままじゃこっちで仕事にも就けない。(別にしなくてもいいだろう、って秀一さんは言うけど……)
「早くスラスラ喋れるようになりたいー……」
「俺との会話もしばらく英語のみにするか」
「え……それは……」
「……Where there is a will,there is the way」
「……どこかの、場所のこと……?」
「違う。やれば出来る、という事だ」
「ああ……ええっ?秀一さん、もう1回!リピート!」
秀一さんはたまに嫌そうな顔をしながらも……いつも英語の勉強に付き合ってくれている。なんだかんだ優しいのだ。
わたし達は元々一緒に住んでたし、俗に言う甘い甘い新婚生活って雰囲気は無いけど……こっちでの暮らしは日々新しい刺激がたっぷりの生活だ。
秀一さんの仕事は今は特に立て込んでいる訳ではなく、しかも結婚した、ってことで、来月長期休暇がもらえるそうで。
盛大な結婚式を挙げる予定はないけど、新婚旅行に行こうかって話をこの前からしている。これが今の一番の楽しみごと。