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Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】

第14章 一日頑張った貴女へ。【安室透】


……疲れた。言葉にすると余計に疲れが増すから考えたくないけど、今の私の頭の中にはそれしか浮かんでこない。

仕事が“終わった!”と思った瞬間から、どっと疲れが押し寄せてきて、もう目をしっかり開けていることすら嫌なくらい……

職場から家までは徒歩10分。とぼとぼ歩きながら、恋人である安室透に電話をかける……と、すぐに彼は出てくれた。


「もしもし?仕事終わったのか?」

「やっと終わったー……」

「お疲れ様。結構遅かったな」

「うん……ごめん、LINEさっき見た」

「中々既読つかないから、忙しいんだろうなとは思ってたけど」

「ほんと……もうクタクタだよ」

「迎えに行こうか?」

「大丈夫、もう出たから……頑張って歩く」

「気を付けて帰って来いよ?ちゃんと周りを見て」

「分かってるって。早く安室さんのごはん食べたーい……お腹空いた……」


彼からきてたLINEっていうのは、今夜は彼が夕食を用意しておくって内容のものだった。(もう数時間前だけど)










「ただいまー……」

「おかえり。お疲れー」

「んー……おつかれ……あむろさん……」


家の玄関のドアを開ければ、彼が奥から出てくる。靴を脱いで上がるなり、ふわりと抱き締められて、頭の後ろを撫でられる。

この抱擁だけで、少し疲れが取れる気もするから、恋人の力ってすごい……

顔を寄せた彼の首元辺りから石鹸のような匂いがする。きっと彼はお風呂も済んでるんだろう。そりゃそうか、もうこんな時間だ……



部屋に入り早速夕食を頂く。安室さんの作る料理が美味しいのは言うまでもない。 おまけに栄養バランスまでバッチリときてるから素晴らしい。

今日の忙しすぎた仕事の愚痴をちょこちょこ聞いてもらいつつ、あっという間に料理を完食した。


彼はいつも、決して楽しくない話でもちゃんと最後まで聞いてくれて……その終わりには私の気分が少し軽くなる一言まで付けてくれるのだ。

顔がいい、料理が上手い、だけじゃない。彼は本当にできた人間だと思う……
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