Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第13章 好きだと言うのは難しい【服部平次】
「……俺は、お前のことが……好きやねん」
「……はあ!?平次急に何言い出すん!?アホちゃう!?」
「こっちは真剣に言うてるっちゅーのに何やて!?」
「アホ!平次のアホ!!!」
一年前の苦い記憶。
ちょうど去年の今くらい、平次がいきなりそないなことを言うてきた。
何の事なんか頭で理解した瞬間、どうしたらええか分からんしパニクってもうて……つい「アホちゃう!?」なんて言うてしもて……アホはアタシや。
ちゃんと「アタシも好きや」って言えてれば、今平次の隣に居んのはあの子とちゃうくて、アタシやったんかもしれん。
アタシかて、ずーっと好きやったのに。
今は下校中。運悪く前の方に平次と女の子が並んで歩いてんのを見つけてしもた。なるべく目に入らへんように斜め下を向きながら、家に帰る。
平次とはちっちゃい頃からの幼なじみ。親同士が仲良くて、昔からいっつも一緒で……気付いた時にはもう好きやったと思う。
けど平次ときたら、いっつもアタシのことイジメるんやし、アホボケ呼ばわりやし……まさかあんな風に思てたなんて全然知らんかったし!
あの一件があってから、平次との距離はえらい遠くなってしもた。
正直寂しい。今も平次のことは好きやと思う。でも何も出来ひんまま……
反対に平次はあれからアホみたいに女の子を取っかえ引っ変えしてるそうや。もしかしたらアタシじゃなくても女なら誰でも良かったんやろか……
家に帰ると、オカンがなんや忙しなさそうにバタバタしてた。
「?おかえりー!あのな、アソコのおばあちゃんが倒れてな!大変らしいんやわ!今夜が峠かもって」
「ええっ!?あのおばあちゃんか!?」
「せや、それでな、オトンとオカン、明日からしばらく行ってくるで」
「アタシは?」
「は明日から大事な模試やろ?学校休めへんやろ思て、服部さんとこに頼んだで。平次くんに勉強教えてもらえるし丁度ええやん」
「何勝手に決めてんねん!アタシ一人で大丈夫やし!」
「静香さん、最近を見てへんて寂しがってたんよ、顔出してあげて」
「嫌や」
「嫌やない。もう連絡してもうたし、迷惑かけへんようにな」
「えぇ……」
昔は、こないな事もようあったけど……なんで……なんで今更平次の家なんかに泊まらなアカンの!