Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第10章 助けて!お巡りさん!【降谷零】
※先に共通ルートをご覧になってから
読んでもらうと分かりやすいです。
降谷さんって、三人の中で見た目は一番派手なのに、喋ってみるとすごく真面目で。一番警察官っぽい中身なのは彼かもしれない。
松田さんも諸伏さんも(特に松田さん)私に散々ちょっかい出してくるけど、降谷さんはそんなこともしてこないし。大人なのかな。
でもそれが、少し寂しく感じたりもして・・・実は少し前から降谷さんが気になって仕方なかったのだ。
チラチラと視線を送っているとたまに目が合って。ニコッと微笑まれたその顔がツボすぎて、あの時はクラりと目眩を起こしそうになった。
「私は、降谷さんの所にお世話になりたいです・・・」
「良かった。じゃあ一緒に帰ろうか」
ホッとした表情で言われ、肩に手を置かれた。なんか落ち着く。
「家に行く前にコンビニ寄るか?・・・化粧品とか、必要な物あるだろ?もちろんお金は気にしなくていい」
「あっ、ほんとだ・・・全然気付かなかった!降谷さんすごい!」
スキンケア用品とメイク用品を買って頂き(本当にありがたい)、コンビニを出た。
少し歩き、「あれだよ、僕の家」と通りの向こうのマンションを指された。
「あれですか?綺麗なとこですねー!」
自分ではよく分からなかったんだけど。
降谷さんの家だと言われた場所に目を向けていたら、私は身体までそっちに動いてたらしい。
「危ないっ!さん!」
「へっ?・・・きゃっ!」
急に降谷さんに腕を強く引かれて、彼の両腕の中に閉じ込められた。
聞けば・・・私は車道に大きくはみ出していたそうで、もう少しで車に轢かれる所だったんだと。
「す、すみません・・・」
「いや、注意を逸らした僕も悪かった」
「いやいや、私がそそっかしいからです・・・すみません・・・でも、あの、いつまで、このままですか?」
さっきからずっと抱き締められたままなのだ。
ビックリしたのもあるんだろうけど、妙にドキドキしてしまって胸が苦しい。
「・・・今離す。でも心配だから」
「・・・?・・・あ・・・」
腕の中から開放されると、今度は手をそっと握られた。
もう勝手に車道に飛び出さないように、って事か。
降谷さんの手はあったかくて・・・思わずぎゅっと握り返した。