Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第1章 月夜に現れた紳士は【キッド/快斗】
月曜日になって再び学校へ。
朝のホームルームの為、紺野先生と教室へ向かっていると、教室内の生徒達が「キッドすごかったな!」とはしゃいでいる声が、廊下の離れた所にまで漏れていて。
紺野先生と私が教室に入ってもその騒々しさは収まらず・・・
黒羽くんに至ってはキッドが一面を飾っているスポーツ紙を片手にその輪の中心で机の上に乗ってる始末。
そこへついに紺野先生の雷が落ちる。
「静かにしなさい!!!!席に付け!・・・黒羽!机に乗るんじゃない!!!!!」
久々に聞いたよこの大音量の怒声・・・私まで怒られてる気分になる。
サッと皆が席に着く中、黒羽くんだけは「へいへい・・・」とか何とかボソボソ言いながら、机の上からシュッと軽やかに床に飛び降りた。
そしてもはや恒例となった、国語準備室から教室への黒羽くんとの移動。
今までは「彼氏いる?」に始まり、「おっぱい何カップ?」とか「今日パンツ何色?」とか・・・答える気にならない下世話な内容だったのだが、
今日は「キッド見た?」に変わった。
「見たよ?」
「テレビで?」
「そうだけど、なんで?」
「〇〇大って言ったらあの美術館の側だろ?近くで見れんじゃねーかなーって思って」
「そうなの!・・・実は凄い近くなんだよねーひとりで住んでる所」
「江古田で教育実習あるから今は実家に戻ってて見れなかった、って感じ?」
「そう!・・・よく分かったね、実家はすぐソコなの」
「へー。俺んちも結構近いぞ。親もいねーし、いつでも遊びに来ていーぜ!」
「はいはい・・・」
「相変わらずつれねーなぁ・・・で、ちゃん、どうだった?キッド様は」
「え・・・?うん、かっこよかったね・・・」
「だよなー!」
再び感じた既視感のようなもの。
私黒羽くんとどこかで会ったことあるのかもしれない。
例えば実家が近所とか。よく似たお兄さんがいるとか。
「ねえ、黒羽くんちってどの辺なの?」
「おっ?もしやお家デートのお誘いですか?」
「違うってば・・・もういい」