第4章 チーム
よし、かーえろ。
「で、七瀬。分析は出来たか?」
そうでした。
「ちょっと待ってください。あと少し書き足したら渡せます」
中学のマネージャー時代と同じ形式のノートをコーチに渡す。
観戦もしてたけど、ちゃんとメモも採ってました!
「え、て、おま、これ…」
日本語になってません、コーチ。
「何かおかしいとこありました?」
「全部だと思うよ」
んん?
「蛍、失礼じゃない?」
睨んだけど、蛍はどこ吹く風で肩を竦め、コーチの持っているノートを指差す。
「事実でしょ。どうせ、たった1試合なのに、基礎ポテンシャルと守備範囲、得意分野、不得意分野は書いただろうし」
それくらいは、まぁ。
「でも1試合だし。旭さんとか、特にデータ少ないから軽めだよ」
「軽め?」
あ、日本語になった。
「軽めです。あと1時間あって、パソコンもあれば、それぞれの練習メニューと能力パラメーターが出来るのですが、今はそこまでですね」
………
え、沈黙?
「何でビデオすら撮らずに見てただけなのに、詳しいデータがわかるのか、とか気にしない方がいいですよ。考えるだけ無駄です」
ひどいな。
「中学時代からこれ、やってたのか?」
「マネージャーになった中2以降はそんな感じでやってました」
………
しーーん。
「……あの、コーチ?」
「無名の高校をマネージャーだけで県内ベスト3まで持ってったとか聞いてはいたが、これはマジか」
???
「こわい」
あ、日向くん。まだ残ってたんだ。
「ほら、カナのエグい分析、日向に怖がられてるよ」
え、え、
「こわい」
影山くんまで!?
「王様なんて、トラウマ思い出しちゃって青ざめてるよw」
トラウマねぇ。
「王様って言うな!…トラウマにはなるだろ。俺らとの試合、只のサーブとオープントスだけで勝ちやがったんだから」
いやあれは、影山くんの不和も理由だったと思う。
「羽奏ちゃんが怖いのは今更だよ」
「忠くんまで!?同じ雨丸中だったよね!?」
「…いやだって、相手が苦手な攻撃パターンとか癖とか、全部羽奏ちゃんの言う通りだったじゃん」
だから勝てたけどね。
で、
「蛍は笑わない!!」
「落ち着け七瀬。
予想以上の分析力だ。これからも頼む」
「はい」
任されました。
では気を取り直して、合宿へgo!