第12章 キツネアザミと矛盾の芽

『なんか多くない？』

「そうか？無理そうなら明日に残してもいいからな」

『量の問題じゃなくて』

「いやあ、リアたんにご飯食べさせたい人って結構いるからねえ」

何かを察して黙った彼女の元に、現れる。
妖館の大人という名の変態共に加え、まさかの立原・芥川・広津に……どこから嗅ぎつけてきやがったのか太宰の野郎まで出てきやがる。

マジで盗聴してんだなこいつ。

『なんで治さんもいるの？？』

「この人結構リアたんの周りうろついてるよ？気持ち悪いくらいついてまわってるよ？？」

『えっ、本当？』

なんで嬉しそうなんだよ、と夏目と総じてつっこんだ。

「リアちゃんにご飯作って食べさせたい放題って聞い『治さんがリアに！？うれしい……♡』……君今日僕と一緒に寝る？？？」

『へ……、え、あっ、えっ』

「リアがショートした！！手前何いきなり言ってんだ、うちのリアは繊細なんだよ！！！！」

「中也とばっかりじゃあ蛞蝓が移っちゃうからねえ♪」

蛞蝓って移るんだ……？などと言いくるめられそうなリアを捕まえてメンチをきる。

「手前なんぞといたら青鯖の匂いが移るっつーの！！」

『中也さんが抱っこしてくれた……♡♡』

「ええ〜、リアちゃん僕もさせてよそれ」

『なにこれ、なにこれぇ？？♡』

触んな、と更に抱き寄せるのにご満悦である。
どっちだこれは、いや多分どっちもだな、俺が思ってるよりだいぶ俺のこと好きだしこいつは。

『中也さんあの、お、治さんにご飯……』

「……一口だけな？」

『！！ほんとう！？♡』

わーい、なんて食べさせられに行き、一口……で済むはずはなく、そのままあれもこれもと食べさせられていく。

「リアちゃん〜？？？」

『中也さんのご飯はすぐに分かるね♡』

「おまえはまたそういうことをだな」

「そんなに美味しいのかい？」

『うん、いつもリアのこといっぱい考えてくれてるの』

えへへ、と嬉しそうにしていらっしゃるが、気持ち悪いくらいに！なんて続けられて夏目が噴き出し、顔を背けられる。

「何笑ってんだ手前」

「いや、中也たんほんと気持ち悪いくらいリアたん好きだなと思って」

「そうか、手前も読めるんだったな……って、体調は」

「え？……あれ、話したことあったっけ？」

「見てりゃ分かるっつの、座ってろ」

「ええ〜かっこい〜……」