第12章 キツネアザミと矛盾の芽
動くなと抗議するように、少しでも何かしようものならムッとした顔を向けられる。
雰囲気もへったくれもなくなってしまったが、何やら自分の機嫌を取ろうとしているのか、先程から絶えず俺にキスマークを落としていく。
うん、いや、可愛いんだがうっすいな。
「リアちゃん、しんどくねえ?痕つく?それ」
『うるさい』
「ああうん、可愛いのはいいんだけどやっぱり慣れてな『うるさい』はいはい」
まさかあっちが爆発するとは……いやまあ色々仕込んだ俺のせいではあるんだろうが。
『……皮膚が硬い』
「だから言ってるじゃねえか」
不機嫌な声色で怒る彼女もまた一興。
何されても抗議中の子狐に見えるんだから仕方がない、リアちゃんかわいい、リアちゃんバンザイ。
と、そんな折に鳴り響くインターホン。
自然に返事をしかけたところで中也さん!とまた怒られる。
なでなでしながら機嫌をとりつつ、少し出てくるだけだからと言うのだが、またしても腕を引っ張られるので大人しく話を聞くことにした。
『なんでリアのこと置いてくの』
「え゛っ、そっち!?」
『なんで』
「いやだってリアちゃん今服着てな『中也さん』わーかった、着せてやるって!!」
ようやく納得がいったらしい彼女に急いで服を着せると、どうしたものか。
煙を出して子供の姿になってしまって、俺の両腕に抱っこされにきてしまわれた。
ああどうしようか、うちの子狐は今日も銀河一かわいいな。
ドアを開けると……反ノ塚がそこにいた。
「おー……まぁたちんまりしたなあ?どしたのリアちゃん」
『中也さんの浮気防止』
「なるほど、中也さんに甘やかされ中なのね?」
『うん』
うんっつったなおまえ。
「良かったらこれからゲームでもしないかと思ってきてみたんだけど、リアちゃんどうする?」
反ノ塚に聞かれて、数秒経ってからちらりと俺に顔を向けられた。
「どうしたい?」
『中也さん』
「はい」
『だから、中也さん』
俺が決めろってか。
「…………リアちゃん専用俺の膝上特等席でいかがです?」
『リア連勝たちとゲームする!』
「あらいいお返事、じゃあ後で夏目んとこおいで。いける奴から集まってるだろうから」
『連勝ありがと』
「ええぇ、これが母性……?中也さん俺にもリアちゃん抱っこさせて」
「誰がやるか、誰が」
『!……♡』