第12章 キツネアザミと矛盾の芽
「ああ、違うんだよ。なあリア?これはあれだよな、嬉しがってるんだよな」
え?と周りからの視線を浴びるが、これは本当にその通りで、うん?とリアも首を傾げて俺を見る。
「全員おまえがまた遠慮してるのかと思ってるぞ?」
『えっ?なんで??』
「日頃の行いだろ」
よちよちしてやるのだが、本人は全く分からないようだ。
「リアちゃん?俺が作ったご飯になるけど食べる?一応リアちゃん用に十五人前は用意してあるんだけど」
『そんなに食べていいの??』
「ええ〜何これ感動……もっと食べる?おなかいっぱい食べていいんだからね???」
『ほんと?リアも連勝のご飯食べてみたかったの』
涙ながらにガッツポーズした反ノ塚は恐らく本気である。
あいつがあんな感極まってんの珍しいな、まあ分かるけど。
「中也さん最高、ほんとありがとう」
「保護者強いな」
「中也たんの甘やかしの甲斐があったねぇ、うんうん」
「リアちゃん嬉しそう」
リアも食べてみたかった、とは、一体何度そう考えて諦めてきたのだろうか、この子は。
恐らく夏目なら分かっているだろうが、この子の場合は言葉の重みが違いすぎる。
特にこいつらに対しては……恐らく救えずに何度も何度も転生してきているせいもあって、人一倍遠慮や距離が大きかったのだろう。
孤独感もそれに伴って強くなっていっていたはずだ。
「まあリアは海の家も行ってみたいそうだから、色々連れ回ってくることにするよ。後でマリンスポーツでもやろう」
『マリンスポーツ!!』
「ああ悪い、多分これ優勝者ここにいたわ」
お前だよ、という視線を一身に浴びつつリアを抱き上げてビーチツアー開始。
「何から行く?」
『リアお腹すいた』
「おっ、じゃあたこ焼きから行くか」
味の種類を選べることを知ってご満悦な彼女のために全ての種類を注文するのだが、店員はそれを食べるのがリアだと知って顔がひきつり始める。
『美味しい♡』
「おお、良かったな」
『こっちも美味しいよ中也さん、あげる♡』
「はいはい」
『リアこれが一番好きかも』
醤油マヨ派か、いいチョイスだ。
「すまないが、醤油マヨネーズの十六個入りをあと十個もらえるか?うちの姫さんが気に入ったらしい」
「あと十個!!?」
「足りなかったら後からまた追加させてもらうよ」
「喜んでぇ!!!」