第11章 珪線石の足音
「おお〜、すごいねリアちゃん。体温二度も上がってるじゃない」
『あのね、中也さんのご飯が美味しくてね?お腹いっぱいになるまで食べていいって』
「へえ〜?そうなんだ」
『それにいっぱい食べたら褒めてくれるし、いい子ってしてくれるし夜も一緒にお布団入れて寝てくれる』
首領からの視線が痛い。
仕方がないでしょう、そうしないと食べないし寝ないんですからこいつは。
「随分懐いてるねえ?」
『リア中也さんだいすき♡』
リアを家に泊め始めて数日。
見ての通り……懐いた。
びっくりするほどに。
「そうかいそうかい」
『……あっ、中也さんに言っちゃダメなやつこれ』
しー、と人差し指でジェスチャーするそいつのなんと可愛らしいことか。
その中也さんは真後ろにいるんですがねお嬢さん。
「うん、分かった。分かったついでに聞くけど、リアちゃん卒業式は参加できそうなの?」
「!卒業式?……卒業式!?」
『リア卒業式とかどうでもいいかも』
「首領、卒業式って」
「リアちゃん今年度から高校生だから」
「そうか中学の……いつですか?」
「明日なんだけど、本人が体調崩してたし難しいなぁと思ってたんだよね」
真剣に話し込んでいた中、ぐい、と腕を引っ張ってそこに抱きつかれる。
あの、リアさん。あなたのお話をしているんですが。
『中也さん浮気?』
「してないな?ただのお話中だな??」
『……でも首領のことばっかり見てる』
「そんな事ないぞ〜リア〜〜〜♡俺はおまえしか見えてないからな〜???♡」
しゃがんでハグして可愛がりたおす。
随分と素直になったものだこいつも。
『あっそう』
つれないことを言っても微塵も拒否しないのだからわかりやすい。
「それじゃあ学校には僕から連絡しておこうかい?」
『首領……!!』
「ああうん、そうしよっか。あとは卒業式だけだしねぇ……中也君と一緒にいる方がいいもんねリアちゃんは」
『うんっ、リア中也さんと一緒にいる♡』
「おーおー、一緒いようなあ」
『……いきなり何ですか怖』
「おまえほんと分かりやすいな???」
よちよちされてる間は嬉しそうに目を細めているが、止まったらこちらを見つめてくる。
三度ほど繰り返し様子を見ても尚撫でろと視線が催促してくるのだから、もうデレきってるのを隠す必要は無いと思うのだが。