第11章 珪線石の足音
『って、なんで抱き上げてるんですかあなた任務終わりで疲れて「足痛めてんのに歩かせるわけねぇだろうが」降ろしてください歩けますから』
「ダメだ、おまえが痛いのは禁止。あ、これ幹部命令だからな」
『パワハラ……!!』
姫抱きにされてんのにそこはセクハラじゃねえのかよ、と言いたくなったが、恐らく半分は満更でもないからなのだろうと思って黙っておいた。
「!お疲れ様です、中也さ……ん!!?」
「あれ、もしかして準幹部じゃ「立原、何も言うな」けどジイさん、あんな光景……ここってマフィアだよな?」
『降ろしてセクハラ!セクハラ幹部!!首領に訴えてやる』
「全身打撲患者は黙ってろ、あとおまえ皮膚弱いんだから帰りに冷却シート買っていくぞ」
『至れり尽くせりして油断したら食べるんだ、絶対そうだ』
「食べるんなら身体が回復してからにさせてもらうよ、安心しな」
『変態!!!』
本気で恥ずかしいらしいがお灸を据えるのにはぴったりだろう。
俺の見てないところで怪我して帰ってきやがった仕置きだこれは、しかも犯人が誰なのか結局口も割らねぇし。
「そう怒るなよ、今日はクリームコロッケと海老フライにしてやるからな」
『!……そ、そんなのも作ってくれるの??』
「当たり前だろ、なんでも作ってやるって言ってるんだから」
『でも揚げ物「遠慮してんの丸分かりなんだよ、バァカ。それと寄り道してデザートでも食って帰るからな今日は」なんでそんなの覚えて……って中也さんッ!!なんで撫で……あっ、な、撫でたらダメ、ダメって言ってるの!』
「嫌だよ、可愛がるっつったろ。これも幹部命令な」
『これだからパワハラ幹部は……って、あ、ま、まってそんなに撫でたらダメになる、なんか人として色々ダメになるから』
「いいよ?ダメになったら俺がもらってやるから」
『ヘンタイ!!!……〜〜〜っ♡』
恥ずかしさが限界に達して抱きついてきた。
観念しろ、それでいい。
「珍しい、中也さんが勝ってる」
「今日も仲がよろしいようだ」
「中也さんにあんな暴言吐けんの世界中探してもあいつくらいだろ、何者なんだよ」
「準幹部は知る人ぞ知る、このポートマフィアの古株……というよりは大恩人だ」
「おお、お前らもお疲れ。俺は今日は先にお暇するぜ」
『ちょっ、何で「一緒に帰ろうなあリアちゃん」りあちゃ……♡』