第11章 珪線石の足音
別の派閥の人間であることだけを伝えられたが、それ以上は言えそうになかった。
「も〜〜〜また隠そうとしたでしょこれ!!リアちゃん!?君身体どっちかっていうと弱い方なんだからね!!?」
『だって言ったらお仕事させてもらえなくな「当たり前でしょ、中也君にも任務付けないよう調整するから休みなさい!折れてるからこれ!!」首領が過保護なだけですよ』
「そんな事ないよねえ?まだ僕にも口を割らないつもりかい??」
『ポートマフィアの損になるんだから別にい「君が万全でないことよりも大きな損失ってあるのかい?」首領は私を過大評価しすぎなんですよ』
「そんな事ないでしょ、歴代最年少幹部の空席の継承者に相応しいのは君くらいのものだ」
ぴく、と奴の話だと理解して聞くが、彼女はそんなこと言われても分からない話なんじゃないだろうか。
『そんなことないですよ、まず私じゃその人に勝てません』
「そうなのかい?……ああ、そういえば彼、捕まったらしいね」
『へ……?…………捕まった??』
「うん、昨夜うちの子が捕まえてきて、今地下牢にいるはず……リアちゃん?会いに行ってみる?」
『け、怪我させたんですか』
何やら動揺しているらしいが、どういうことだ。
十中八九、捕まったのは太宰の木偶で間違いないだろうが。
「刺傷だね、まあ彼に限ってわざとだろうとは思『刺されたの……?』治しちゃダメだよ、今の身体でそんな無茶しちゃ絶対にダメだからね?命に別状は無いから安心しなさい」
何せ、致命傷にでもなろうものならそんなことをした本人がリアちゃんに殺されてしまうからね。
にこりと言い放っているが、そろそろつっこんでもいいものか。
「あの、首領?リアは……奴と面識が?」
「さあ?どうなのリアちゃん」
『……誰のこと?』
すっとぼけた回答に、首領はやれやれと苦笑いだ。
「リアちゃん、多分中也君は言っても怒らないと思うよ?」
『なんのことですか』
「会ってきたら?」
『…………いい、リア“いらない子”だから。会ったらもっと嫌われちゃう』
並々ならぬトラウマ発言に冷や汗が流れる。
「そんなことないでしょ、今君がこうして外に出られているのが何よりの証拠だ」
『どこぞで野垂れ死にでもしたらいいってことじゃ「そんなことないから」……リア、浮気しない人がいい』
「一途でしょあの子は」