第11章 珪線石の足音
「ちょっ、何言って……ごめんねえええリアちゃん???ちょ〜〜〜〜〜っっっとだけ、ほんのちょっと!!!!中也君借りてもいい???」
『へ……な、なんで私に「リアちゃんの中也君、僕にほんのちょっとだけ貸してくれる?すぐに戻るから♪」…………リアの?』
視線を感じてそちらを向くと、プイッッと即座に顔を逸らされた。
あれ、おかしいな。
「リアちゃん?」
『ひゃっ!!?♡』
「リアーーー!!?」
どうやって真正面に向けてソファから転げ落ちた今、なあ。
「どこ打った!?痛かったろ、すぐに冷やし『ひ、っぁ、や、やだ恥ずかし……』……リアちゃん?」
『…………な、に?』
「打ったところ冷やそうか、銀河一可愛い俺の一番大事なリアが怪我しちまったから」
『え、と……えと「中也君、君ゼロか百かしかないのかい……リアちゃんごめんね、中也君近いの恥ずかしかったね?大丈夫だよちょっとだけ落ち着かせてくるから。エリスちゃん、アイシングお願い」あ、び、びっくりした……』
無理矢理引っペがされて隣室に連れられ、盛大なため息と共に項垂れられた。
おかしい、思っていることをそのまま直球でぶつけただけだというのに何が違ったのだろうか。
「中也君あのね、本当君って子はその……リアちゃん好きだねえ???」
「そりゃあ一番信頼していますから」
「でもあの純粋なリアちゃん相手にさっきのは刺激が強いと思うんだよね」
「……どれがですか?」
全部、と疲れた顔をしてげっそりと言いきられてしまった。
おかしい。
「刺激のあるような話をした覚えは「リアちゃんの精神年齢は五歳児くらいだからほんと。ほんとに」五歳児でも問題ないような内容だったとは思うのですが……?」
「だから……一生とか、可愛いとか、そういうの言われると弱いんだって。相手が誰でも信用しちゃうし、好きになっちゃうんだよあの子は」
「そんなことないでしょう、リアが好きなのは俺一人で十分ですよ」
「……君、気付いていたのかい?」
「そりゃああんなに分かりやすかったら。本人にその自覚は無さそうですけどね」
「そう、それならとりあえずもう少しお手柔らかに「まさか例え話ですらあんなに取り乱すとは思いませんでしたが」本当にもうやめてね!?さっきも言ってたけど、あの子まだ捨てられた記憶が新しいし全然傷が癒えてないんだから」