第11章 珪線石の足音
『……入んない』
「どうした?そっち向いていい?」
だめ、と言われるも入らない入らないと先程から浴衣を着るのに手こずっていそうなリア様。
まあ難しいだろう、なにせあんな立派なものをお持ちなのだし、そのくせ身体は華奢だわ細いわシルエットが綺麗だわ。
『リア中也さんとおそろいできない……』
「だぁから、着せてやるって」
『だ、だめ』
「なんでだよ」
『だって恥ずかしいもんこれ』
そりゃあそうだろうがそうじゃなくてだな。
日頃あれだけやれ着替えさせてだ下着付けてだ甘えたになってるおまえが、いったい何をそんなに恥ずかしがっている。
「いいじゃねえか着付けくらい、着せてやるよ」
『……あんまり見ない?』
「はいはい、いつも通り任せろ」
わかった、と渋々了承してくれた彼女の方へと向き直り……それから、フリーズした。
「…………待ってリアちゃん、下着は」
『えっ?だ、だって浴衣だから』
「浴衣だから……?」
『下は何も着ないのがいいって、野ばらちゃんと連勝が……』
「いつの時代の和装の話だよ!!?今すぐ付けろ、壁向いてるから!!」
『えっ、違うの!?』
「今の時代にんな事する奴見た事ねぇよ」
ふぅ、と息を吐いたのを聞かせてしまった。
あ、まずい、多分全然別の意味で捉えられたこれ。
『ぁ……ご、ごめ「悪ぃ、違うんだ。あんまりリアがうぶで可愛らしいから出ただけなんだよ、怖がらせてごめんなぁ??」ううん、あの……えっと、お洋服着るから大丈夫』
だめだ全然信用されてねえ。
「いいよ、嘘教えられてただけなんだから謝るような事じゃないだろ?信じちまってんのも可愛らしいけど」
『でも、でもリアがぽんこつだから』
「俺が嫌な気持ちになって息吐いちまったと思ってるだろ、違うからなあ??」
溜め息とかイラついてるような態度とかめちゃくちゃ苦手だもんな、申し訳ないことをした。
「ちゃんと下も着てるし、あとは着付けだけ……着付け…………おまえほんと育ってんな???」
『ごめんなさ「あああ違うんだよ、可愛いんだってこれは」……失望してない?』
「するわけねぇだろこんなことで」
『じゃあまだリアのこと捨て「俺は一生そんなことしません」……でも閉まらないでしょう?』
「こういうのはだなぁ……雪小路方式にすんだよ」
『…………中也さんのえっち』