第11章 珪線石の足音
『パンケーキたべたい』
「おー、アイスつけて食わせてやるよ。口開けろ」
『中也さんすき……♡♡』
素直に甘やかされにくるようになったリアは一躍話題になっているようで、遠巻きに見に来る奴らもいるような。
『リアにお仕事ない?なんでもするよ中也さん』
「おー、おまえの当分の仕事は腹が減ったら満足するまで飯を食うことと、よく寝ることと俺に甘えることだ。以上」
『中也さん♡♡』
あ、アホ毛揺れてる。
こいつアホ毛あったのか、いいなぁこれ尻尾みたいに分かりやすいし。
「うわぁデレデレ……おまえそんな甘えれんのに我慢してたのかよ」
『は?立原君にもあげないから』
「言ってねえぇ、誰も言ってねえ中也さん寄こせとか……」
『中也さんはリアのだから!?寄こせって言っ「どーどーリアちゃん、一旦落ち着け。俺のお手製ミルクティーでも飲んで落ち着こうなあ」中也さんがリアに作ってくれるやつ……♡』
「何それ美味そう」
「リアちゃん専用メニューのミルクティーだ、他の奴には作れねぇんだなこれが」
色々察した目を向けられるが、人目を気にしなくて良くなったのだろう。
俺に好き勝手甘えても酷いことをする元凶が消え去ったのだ、今まで溜め込んでた分嬉しくもなってるんだろうが……いかんせん可愛い。
『中也さんもう食べ終わった?』
「おう、満腹だ」
そっか、と俺の膝に自分から座りに来たのを見てフリーズする。
えっ、今おまえ自分から座った?えっ???
更には俺の左手に触れて手袋を外し、自分の指を絡めて手を繋いでくる。
待て待て待て、可愛いがすぎるいくらなんでもそれは。
『…………手塞がっちゃったから食べられないよ?』
「いくらでも食べさせてやるからなあも〜〜〜!!!」
『いっぱい食べるの疲れた』
「何?寝る??おまえはほんと何してても可愛いなマジで」
『……お、おやすみなさい』
「!おう、安心して寝てろ」
『…………って、言ってみたかったの。……おやすみ中也さん』
「おやすみリア」
あまりの可愛らしさにかっこつけたが、内心はスタンディングオベーションである。
あのリアが俺におやすみを言う日がくるとは。
「ははは、リアちゃんからのおやすみなさいなんて最上級の愛情表現じゃないか。良かったねえ中也君」
「俺ちょっと泣きそうです今」
「ほんと親バカっすね」