第11章 珪線石の足音
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そういえば、この人は端から私が狐になっても気味悪がらずにやらしいことできる人だったっけ。
治さんみたいな人種だなって、思わなかったわけじゃない。
さすがにここまでの変態さんだったとは思わなかったけれど、狐の私のことを確かに可愛いと思ってくれていたことならよく知っている。
『ち、中也さん』
「どうした〜?」
『……なんでもない』
「話したかった?」
『べつに』
「俺はリアと話してんの好きだけどな」
『だ…、だっこ…』
キッチンからすぐに飛んできてくれて、抱っこされる。
呼んでもいいんだ…?
「ご所望の俺です」
『…うん』
「横になってる方が楽?」
『別に「こら、誤魔化すな」……うん』
でも中也さんが離れちゃうのはやだ。
伝えたところで発動される異能により、力が抜け、楽なのに身体が浮く。
「じゃあ一緒にいようか」
『!…ふふっ、折角の異能力なのに、子守りに使っちゃうんだ』
「俺の力をリアのために使うのは当然のことだろ?好きにつかまってろ、火傷しないように危ないとこに手出すなよ」
『むらむらしてきたかも』
「煽んな病人」
『熱出してたら中也さんいつもより優しくしてくれるんだもん…』
「お前のタイプはそういう奴だったなぁ、そういや……せめて薬飲んでからな?昼飯食うまで我慢してて」
そう、優しくされるだけでころっといっちゃう単純な奴、それが私。
ご飯作ってもらっただけで好きになっちゃうし…手繋いでもらっただけでときめいちゃうし。
気持ちよくしてもらっただけで、気になっちゃう。
「お嬢さん?俺の背中でもじもじされっと大変理性に悪影響を及ぼされるんですが?」
『が、我慢してる』
「…猫舌ちゃんは冷まさないと食えないもんなぁ?」
器に出来上がったらしいそれをよそって盛り付けてから、私を抱き抱えてソファーに横たえ、シャツのボタンを外していく。
それから下着を取り払われたかと思えばそれを見せつけられた挙句、私の身体をまじまじと見つめられる。
『ゃ、…な、に』
「ん〜、見てるだけ。俺が触ったらすぐ感じちまうだろ?」
『見、見るのやだ』
「じゃあ隠したらいいだろ?」
『ぁ…だって中也さんが、見るって』
「そうだなあ、俺はリアのこと見るの好きだからなあ」
乳首勃ってる、なんて嬉しそうに耳元で囁かれて、観念した。