第8章 タイムリミットとクローバー
『………、じ、自己判断して下さいそういうのは』
「俺多分、お前のこと好きなんだけど」
『っはぁ!、?さっきの今で何言って、』
「だからこそだよ、俺が柄にもなく手ぇ出してんのに仕事だけの間柄なわけねえだろ」
それは、と言い淀むリアは女の子らしい反応をしている。
そうだよな、思春期だもんなこいつも。
『……、色、いろあるから…やめといた方が、いいです』
「…いいよ。俺だって色々ある」
『そういうのじゃなくて、ほんとに!!…わ、私元々、貴方に貰われていいような女じゃ…ッ』
どうやら相当な訳ありらしい。
それを話させるだなんてことは、流石に今は出来そうにもないしさせたくない。
こんな泣きそうな顔してる奴に。
「言っとくけど諦め悪いぜ?俺」
『…知ってる、』
「……お前、俺の事好きだろ」
『……〜〜〜ッ、…だ、いすき…っ』
女を泣かせる趣味はなかったはずなのだが。
どうにも今は、ちゃんと甘えさせてやらないといけないような気がして。
「記憶ねえって分かってりゃそれなりに辻褄が合うんだ。ほら、こっち来いや…くっつくの我慢してたんじゃねえの」
腕を広げて見せれば本当にこっちにやってきて、正面から抱きついてきてくれて。
あんま泣かせたくねえんだけどな…
けれど、どうしてかいつもこんな風に泣かせていたような気がするのだ。
それからこうやって触れ合って、抱きしめて、撫でて。
「おー来た来た、素直でよろしい」
『っん、…ごめんなさ、ぃ…ッ』
「謝んなよ、寧ろ俺だろ謝るなら」
『違うもん…ッ…!!』
「ははっ、わがまま」
とりあえず、覚悟は決めた。
こいつからの出方を伺ってちゃいけない、こちらから歩み寄っていかなければ。
…怖がりがすぎて、多分、こいつひとりじゃどうにも出来なくなっちまう。
そんなに強い女じゃない、寧ろ脆くて、我慢しいで、そのくせものすごい寂しがり屋で。
「……自信持てよ、お前が選んだ男だろ?俺」
『っ、!!』
「あれ、違ったか?」
『…リア、相手になんでも出来る?』
「かかってこい」
『クーリングオフ出来ないけど』
「するつもりねえよ」
『あんなことやこんなこと、全部仕込まれてるけど』
俺にか!!?と反射的に聞き返すと頬を赤らめながら、しかし首を横に振る。
『…家、で……他の人に、聞いて』
「…了解」