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ハリー・ポッターと闇の姫君

第10章 【親友とは】


「ダームストラングの代表選手は――ビクトール・クラム!」
「やっぱりだ!!」

 ロンはまるで自分の事のように喜んだ。大広間に拍手喝采が巻き起こり、特にダームストラングの校長カルカロフは既にクラムが優勝杯を掴んだかのように喜んでいた。
 クラムはむくっと立ち上がると、猫背で教職員用テーブルに行き、隣りの部屋へ入って行った。

 続いて、再びゴブレットの炎が赤く燃え上がり、1枚の羊皮紙を吐き出した。

「ボーバトンの代表選手は――フラー・デラクール!」
「ロン!見て、あの人だよ!」

 ハリーがロンを肘で突いた。ヴィーラに似たシルバーブロンドの美少女が立ち上がり、サッと髪をなびかせクラムと同じ部屋へ入って行った。残されたボーバトンの女生徒達は、皆テーブルや手の平に顔を埋め大声で泣いている。相当悔しかったらしい。

 そしてゴブレットは、最後の代表選手を選び抜いた。何千という目が1枚の羊皮紙に注がれている。

「ホグワーツの代表選手は――セドリック・ディゴリー」
「やった!」

 思わず喜びが口についた。クリスはハッと自分の口を押さえたが、その必要は無かった。なにしろハッフルパフのテーブルから大歓声が送られ、クリスの声などかき消されてしまったからだ。

 大観衆の中、セドリックが隣の部屋に行く途中、ふと目があった様な気がしたので、クリスはビッと親指を立ててエールを送った。1000人以上生徒がいる中で目があったとは思えなかったが、それでもセドリックはクリスに微笑みを送り返してくれた気がした。

「大いに結構なことじゃ」

 割れんばかりの大歓声が静まると、おもむろにダンブルドアが口を開いた。

「さて、これで3校の代表選手が決まった。選ばれなかったボーバトンの生徒もダームストラングの生徒も、みな力を合わせ代表選手達を応援してもらいたい。勿論ホグワーツの選手もじゃ。そうすることで本当の意味での『三大魔法学校対抗試合』が――」

 ダンブルドアが言いかけた時、信じられない事が起こった。それまで静かに青白く燃えていた『炎のゴブレット』が赤い炎を上げ、1枚の羊皮紙を吐き出した。ダンブルドアは静かにそれを取ると、長い沈黙の後こう言った。

「……ハリー・ポッター」
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