第4章 【三大魔法学校対抗試合】
組み分けが終わると、ダンブルドア校長が席を立ち、生徒達の顔を見渡した。皆ダンブルドアの合図と共に出てくるご馳走が待ちきれないと言う顔をしているのを確認すると、ダンブルドアはたった一言こう言った。
「それ!掻っ込め!!」
その合図と共に現れたご馳走を、待ってましたと言わんばかりに皆急いで口に詰め込んだ。その様子を、グリフィンドール付きのゴーストである『ほとんど首なしニック』が羨ましそうに見ていた。
「今年も無事ご馳走が出てきて良かったですねえ」
「ほえがひゃいほひゃっへやえやいお」
「ロン、口に物を入れたまま喋るな」
ロンの食べっぷりは勢いがあって羨ましい時もあるが、大抵はテーブルマナーがなってないと思う時の方が多い。ロンはカボチャジュースで口の中の物を流し込むと「これが無いとやってられないよ」と言い直した。
「でも、無事ご馳走が出てきて何よりでした。先ほどピーブズが厨房で事件を起こしましてね」
「事件?」
「いつもの事です。ピーブズが宴会に出たいと言い出しましてね。でもあいつの事です、食べ物を投げつけずにはいられないでしょう。『太った修道士』は1度で良いからチャンスを与えてはどうだと言ったんですがね『血みどろ男爵』がどうしても首を縦に振らなくて……」
「それで腹いせに水風船を投げつけてきたのか」
全くいい迷惑だ、とクリスは未だ水が滴る髪をかき上げた。
ポルターガイストのピーブズは、ただのゴーストではないから簡単に追い払うことも出来ないし、かと言ってあの好々爺のダンブルドアがピーブズを追い出すはずもない。結果、悪戯好きのピーブズは、ダンブルドアか『血みどろ男爵』の言う事さえ聞いていれば好きなだけ暴れられると言うわけだ。
「おかげでこっちは水浸し。早く着替えなくちゃ風邪をひくな」
「僕はそれよりもお腹いっぱい食べた方が良いと思うけどな。クリスってあんまり食べ物に執着しないよな。僕だったら風邪ひいてもお腹いっぱい食べたいけど」
「ねえ、ところでピーブズは厨房で何をやったの?」
ハーマイオニーが何気なく質問すると、『ほとんど首なしニック』は両手を上げた。
「厨房にある物を全てひっくり返しての大騒ぎ。フライパンは投げるし、お鍋はぶちまけるし……お蔭でで床はスープの海。屋敷しもべがビックリしてすみっこに寄って――」