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ハリー・ポッターと闇の姫君

第33章 【決別】


 ふと、ダンブルドアが懐中時計を取り出したのを見て、クリスも壁掛け時計を見た。もう12時を回っている。随分長い間眠っていたのだとクリスはボンヤリ思った。

 どこからが現実で、どこからが現実じゃないのか、いまいち判断がつかない。しかし先ほどの闇の中で見た出来事の方が、よほど現実味を帯びていたのは確かだった。目を閉じるだけで、あの生々しい独特の夢がありありと瞼に浮かぶ。

 腐れ落ちるセドリックの身体。闇に引きずり込もうとするクラウスの腕。そして母の声。それらが壊れた投影機のごとく、同じ場面を繰り返し繰り返し脳裏をかすめていく。
 ただ生きている、それがすべての『罪』だと3人が言っているような気がした。

 そんな時、ゴブレットを2つ持ったマダム・ポンフリーが現れた。1つをハリーに、もう1つをクリスに渡した。

「さあ2人とも、これを飲んで。そうすれば夢も見ずにゆっくり眠れるわ」

 クリスは差し出された薬を一気に飲み干した。
 もう何も考えたくなかった。夢も見ずに眠れるのならそれが1番良い。飲み干したゴブレットを置くと、途端に睡魔が襲って来た。その眠気にあらがう事なく、クリスは深い眠りについた。
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