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ハリー・ポッターと闇の姫君

第27章 【裁判】


「ハリー、ハリー、待ってくれ!!」
「……クリス?」

 駆け足で北塔の螺旋階段を下りるハリーを呼び止めると、クリスは肩で息をしながら何処に行くつもりか訊ねた。

「どこって……校長室だよ。ダンブルドアに会うんだ。今見た夢の事を、話さなくちゃ」
「今見た夢って……?」
「それは――後で話すよ。まずはダンブルドアに会わなくちゃ」

 そう言うと、ハリーはまた駆けだした。足の遅いクリスはハリーの後姿を追うのがやっとだったが、なんとか校長室の入り口と言うガーゴイルの石像前まで辿り着いた。
 クリスは校長室に入るのは初めてだったので、ハリーのだけが頼みの綱だった。心臓がドキドキする。ハリーの傷が痛んだのと、クリスの左腕の痣が同時に痛んだのは1年生の時以来だ。こんな最悪な状況で、頼るならやはりダンブルドアだ。クリスは息を落ち着かせた。

「レモンキャンディー!」

 しかし何も起こらなかった。この合言葉は古いものらしい。今の合言葉は違うものになっていて、これでは校長室に入れない。しかしハリーは諦めなかった。

「綿パチ飴、杖型ぺろぺろキャンディー、フィフィフィズビー、ドルーブルの風船ガム、血の味キャンディー、バーティ・ボッツの百味ビーンズ、ほら、クリスも何か言って!!!」
「え?え~っと……カボチャパイ、魔女の大鍋ケーキ、、スコーン、ショートケーキ、ガトーショコラ、マシュマロチョコレート……」

 ハリーの真似をして、甘そうなお菓子の名前を羅列していったが、ガーゴイルは何の変化も見せない。ハリーはキレて石像を蹴とばした。が、ハリーの足の方が痛そうだった。ハリーは焦りと怒りで地団太を踏みながら叫んだ。

「蛙チョコレート!砂糖羽根ペン!ゴキブリゴソゴソ豆板!!」

 その瞬間、ガーゴイルの石像が回転し、ゴゴゴゴゴといいう石の擦れる音と同時に螺旋階段が現れた。
 2人は思わず顔を見合わせた。まさかやけくそに言った「ゴキブリゴソゴソ豆板」が合言葉だったなんて。双子のフレッドとジョージだってこんな合言葉にはしないだろう。うん、多分だが。

「やるな、ハリー」
「はは……暫く話しのネタには尽きないよ」

 だがこれでダンブルドアに会える。2人は階段を上った。しかし扉の前に来た時、怒鳴り合う声がして、2人は扉に耳を当てた。
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