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ハリー・ポッターと闇の姫君

第22章 【水面下での争い】


 ハリーは文字通り競技場に飛び込んでくると、息を切らして他の代表選手と同じように飛込み台の上に並んだ。ハーマイオニーとロンの姿はまだ見えないが、それでもハリーの姿を見てクリスの胸に込み上げてくる何かがあった。
 クリスはあらん限りの力を振り絞て、応援席からハリーの名前を叫んだ。

「ハリーーーッッ!!!」

 しかしクリスの声はハリーの所までは届かなかった様だ。ハリーの傍にバグマン氏が寄り添い、二言三言何か言い交わすと、バグマン氏は審査員席に戻っていった。そして杖を喉にあてて「ソノーラス!!」と唱えるとバグマン氏の声が賑やかな湖の周り全体に響き渡った。

「レディース・アーンド・ジェントルマン!!さあ、お待たせしました、これで全選手の到着です!私のホイッスルが鳴ったら、選手達が全員一斉に奪われたものを取り戻しに湖に飛び込みます!それでは、3――2――1――……」

 ピーッと甲高いホイッスルの音が鳴り響くと、選手達は杖を手に次々と湖に飛び込んでいった。ハリーはと言うと、のろのろと靴と靴下を脱いで、ゆっくりゆっくり湖に腰を沈めている。
 そのマヌケな姿にスリザリン生がヤジを飛ばした。クリスの隣に座っているドラコも、ハリーを指さして笑った。

「見ろよクリス、あのポッターの無様な姿を!あれがやつの本来の姿なのさ!!」
「違う!ハリーは、何かちゃんと手を考えてあるんだ。そうだ……そうに違いない……」

 クリスは自分に言い聞かせる様に言った。お願いだハリー、君の力を見せてくれ。数々の奇跡を起こしてきた君の力を――。
 クリスは胸の前で両手を組んで祈った。すると、突然どうしたんだろう、ハリーはザブンと勢い良く湖に潜って、姿を消してしまった。

「ハリー、突然どうしたんだろう?」
「知るかい!とうとう無駄だと悟って入水自殺でもしたんじゃないかい?」
「――お前な!次不吉な事を言ってみろ、その舌引っこ抜いてやるぞ!」

 ドラコはハリーがこの課題で死んでくれれば万々歳だ、とでも言いたげな表情を浮かべていた。反対にクリスは不安で仕方が無かった。
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