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ハリー・ポッターと闇の姫君

第21章 【Look for it】


 仮にも純血で、しかもドラコの許嫁という事で、他のスリザリン生もクリスの存在を見て見ぬふりをした。死人の様な顔で紅茶を飲むクリスを何とか元気づけようと、ドラコが手を尽くしてくれたが、あまり意味はなかった。
 そうこうしている内に、時間は刻一刻と第2の課題が始まる時間に迫って来て、ドラコは仕方なくこう提案した。

「クリス、試しに観客席の方に行ってみよう。もしかしたらもうウィーズリー達が良い席を取っているかもしれないだろう?」
「でも……ハリーは?」
「ポッターは出場選手だ。絶対に来る、だから心配するな」
「分かった……ありがとうドラコ」

 そう言ってクリスはうなだれたまま、ドラコのローブの袖をつかんだ。まるで子供の頃に戻ってしまった様だ。ドラコはクリスが掴んだローブの袖を、黙ってそのままにしていてくれた。

 それからクラップ、ゴイルを従えて、他の生徒に混じって湖に行くと、そこには湖を囲むように観客席がずらりと並んでいた。
 クリスはまず燃えるような赤い髪と、たっぷりとしたふわふわの茶色いか髪を探した。だがどこを見まわしても見つからない。
 今度は選手人たちが並ぶ対岸に目を走らせたが、残念ながらクシャクシャの黒髪はいなかった。

「どうしよう!?やっぱり事故か!?まさかカルカロフの罠か!?」
「落ち着けクリス!大丈夫だ、あんな奴ら殺したって死なないさ」

 しかし9時を過ぎ、殆どの生徒が観客席に座ったのに、ロン達の姿は見えなかった。そればかりか、選手達もハリー以外の3名が揃い、審判たちも5人――今日クラウチ氏の代わりにもパーシーがいた――揃ったのにハリーは影も形も無い。
 まさか1時間水に潜っていられる方法が見つからなかったから逃亡!?でも、ハリーに限って……。

――あと15分……ハリーはまだか!?
――あと10分……絶対に来る!
――あと5分……お願い!!

 クリスが胸の前で両手を組み、固く目をつぶって祈っていると、隣りに座っていいたドラコがクリスの体を揺さぶった。

「見ろ!クリス、ポッターだ!!」
「えっ!?」

 クリスが目を開くと、そこには間違いなくハリーの姿があった。白銀の雪に照らされたハリーの姿が、クリスには眩いばかりに一筋の希望の光に見えた。
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