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ハリー・ポッターと闇の姫君

第18章 【気になるアイツ】


「まあ、ちょっとは、妬いている……のかもしれない」
「ぷっ、あはは!クリス、君って顔に似合わず素直だね」
「それって褒めてないだろう」
「いや、僕からすれば褒め言葉だよ」

 セドリックは急に体を大きく伸ばしたかと思うと、深いため息と共に一気に脱力した。

「は~あ。……君って不思議だね、君といると肩ひじ張らなくて済むから気が楽で良いな」
「人気者は大変だな」
「ほんと……たまに、優等生を演じている自分が嫌になるよ」

 そう言ったセドリックの声色が、寂しそうで、辛そうで、クリスの心を締め付けた。クリスは一瞬言葉に詰まり、無意識に下唇を噛んだ。
 慰めるのは得意ではない。だがセドリックを想い、クリスはわざと明るい声を出した。

「じゃあ、たまには私が傍に居て愚痴を聞いてあげるよ。光栄に思え」
「あははは。ありがとう、そうしてくれると助かる」

 そう言いながら、セドリックは穏やかに笑った。少し傷ついた表情から一転。その笑顔が、少しルーピン先生とかぶって見えて、クリスの心臓が高鳴った。

「もうそろそろ戻ろうか。風邪ひいちゃうよ」
「そそそそそうだな」
「クリス?どうしたの?」
「なっ、なななんでもない!」
「そう?なら良いけど」

 クリスの心中など知る由もないだろう。セドリックは立ち上がると、ごく自然にクリスに手を差し出した。
 クリスは緊張しつつも、その手をつかんで立ち上がった。するとセドリックはちょっと屈んでクリスの額に軽くキスをした。

「メリークリスマス、クリス」
「メ……メリークリスマス」

 「それじゃあ」と言ってセドリックは爽やかに去っていった。
 ズルい、完全なる不意打ちだ。クリスは独り立ちつくしたまま、頭の中は案外プレイボーイなセドリックでいっぱいになってしまい、真っ赤な顔を隠すので精一杯だった。
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