第17章 【hunting】
「な、ななな何よこれぇーーーっっ!!!」
いつもなら授業開始5分前に、ハリー達が起こすまで半覚せい状態でいるクリスなのだが、この日は特別にハーマイオニーの叫び声で目を覚ました。
厨房でドビーとウィンキーに会ってから3日後、クリスはハーマイオニーに言われた通り実家のチャンドラーに手紙を書いた。友人から、屋敷しもべ妖精が長年にわたり不当な扱いを受けているので、それを改善するべく手を貸してほしいと。どうもその返事が、今日ハーマイオニーに直接届いたらしい。
わなわなと震えるハーマイオニーの横から手紙を盗み見て、流石のクリスも笑ってしまった。手紙の一文にはこう書かれていた。
【ハーマイオニー・グレンジャー様へ】
貴女のしている事は全くのお節介で、私達屋敷しもべを愚弄する行いでございます。これだからまともな教育を受けていない汚れた血は無知で、勝手な事ばかり言って自己満足に浸り、自分だけ良い面しようとして失敗に終わる、極めて愚かな生き物だと言うのです。
汚れた血として生まれ、魔法界の歴史に浅い貴女にはお分かりにならないでしょうが、私達は自分の仕事に誇りを持っております。純潔の家系に仕える事を至上の喜びと思っております。そんなことも理解出来ず、賃金や休暇をご主人様に願い出させようとするなど、はっきり言って末代までの恥じであります。
これ以上汚れた血ならではの浅はかな考えを押し付けるようなら、例えお嬢さまのご学友であろうとも黙ってはおれません云々――。
「はっはっは~、チャンドラーもやるな。『汚れた血』3連発とは」
本来なら友人を『汚れた血』呼ばわりされて怒るクリスだったが、純血主義を尊ぶ家系に仕える屋敷しもべなら、このくらい書いても頷ける。寧ろ、一応敬語な事を褒めてやりたい。
向かいに座っていたハリーとロンも手紙を読んで、慰めるどころかこのままハーマイオニーの屋敷しもべ妖精に対する熱が少しでも冷めてくれれば、それに越した事は無いと思って黙っていた。
「良いわ、これは私に課せられた挑戦状よ。それにこっちにはドビーがいるんですもの。何年かかってでも屋敷しもべ妖精に相応の労働条件を与えて見せるわ!その為にはS・P・E・Wの活動を本格的にしなくちゃ!!」