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ハリー・ポッターと闇の姫君

第12章 【木綿のハンカチーフ】


 やっと終業ベルが鳴ると、クリスはロンと一緒にハーマイオニーの様子を見に医務室によった。しかしハーマイオニーは今は誰とも会いたくないと言って、さめざめと泣いていた。マダム・ポンフリー曰く、歯は治ったが精神的なダメージが大きいと言っていた。
 確かにあんな姿を皆に見られた上に、スネイプに侮辱されれば泣きたくもなる。仕方なく、今日もクリスとロンの2人きりで夕食を取った。

 今日のロンはいつもより荒れていた。きっとハリーとハーマイオニーの件が原因だろう。なんとか2人がまた仲直り出来ないか、クリスは言葉を選びながらロンに話しかけた。

「なあ、ロン……ハリーの事なんだけど……」
「あいつを許せって言うんなら、僕は聞かないよ」
「違う!ハリーは……ハリーは本当に命を狙われているかもしれない。ハーマイオニーが言っていたんだ。ムーディ先生が言うにはその可能性が十分あるって」
「へえ、それは大変だね。英雄はどこに行っても命を狙われるんだ」
「ロン!ハリーの命を狙っているのは『例のあの人』かも知れないんだぞ」

 一瞬、ロンが顔色を変えた。しかしロンは手あたり次第近くにあった料理を口に詰め込むと「ご馳走様」と言って先に大広間を出て行ってしまった。
 クリスはもう頭を抱えるしかなかった。こんな時、ルーピン先生が居れば相談もできただろうに。しかし今、先生はは遠く離れた地で静かに暮らしている。そんな先生に余計な心配をかけたくない。

「どうしたら良いんだろう……」

 クリスが独りごちた時、大広間にハリーが入って来るのが見えた。クリスは手を振ってハリーを呼んだ。

「どうだった?写真撮影」
「あんまり聞かないで」

 ハリーの機嫌も最悪とまではいかなかったが、かなり不機嫌だった。仕方がない、2年生の時ロックハートと一緒に新聞に載った時でさえ不機嫌だったのだ。それなのに、今回は最年少の代表選手としてあり難くも無い脚光を浴びる羽目になっているのだ。ハリーはもくもくと食事を続けた。

「ハーマイオニーは?」
「まだ医務室だ。歯は治ったらしいが、ショックが大きすぎたみたいだ」
「そっか……ハーマイオニーには悪い事しちゃったな」
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