第5章 昔話
それから、バスケの授業が始まった。男子が試合をしているときは女子は観戦している。女子が試合をしているときは男子が観戦する。コートを交互に使う。
「じゃあまず、男子からな。チーム決めて試合始めろ~。試合時間は15分。」
チーム分けに時間がかかると思ったけど、すぐに決まった。
「頑張れ~!」
「頑張れぇ~!」
「ファイト~!」
翔真と春樹は同じチームになったらしい。
「はぁぁっ…!カッコイイ…。」
麻里はさっきからずっと翔真のことを見つめている。
「…」(そういえば、春樹ってバスケ得意だっけ?)
春樹のことを見つめていると、目が合ったような気がした。
「!…」
気がした。ではなく、目が合った。らしい。
私の方を指差すと、翔真からパスを貰い、3Pシュートを打った。
「!…」
「うそっ!?」
「カッコイイ!!」
「入ったの!?」
「すご~い!!」
春樹に注目が集まった。
「ねぇ、黒髪にしてから吉田君ってカッコ良くなったよね。」
「え、わかる!それな!」
「なんかあんまり怖い。っていう雰囲気も無くなったし。」
「ね~!体育祭の時とかカッコ良かったよね!」
「告白してみようかな…。」
「え~!」
「…」
付き合っているわけでもないのに嫉妬をしてしまう。
「…」(人気なんて出なくていいのに…。)
「フフッ…!」
「…?」
「菜月、凄い春樹君のこと好きなんだね。」
「え…なんで?」
「だって、他の女の子が吉田君の話題出しただけで凄い拗ねてるみたいだったから。」
「そ、そんなにわかりやすかった…?」
「うん。」
「…」(気をつけないと…。)