第5章 昔話
「あーあ、やっちったぁ~。」
「…なんでお前まで来てんだよ、翔真。」
「だってさ~。鈴木ちゃんの授業、退屈だから。」
「わ、私…サボったの初めて…。」
結局、みんなで授業をサボってしまった。数学の先生(鈴木)はきっとお怒りのことだろう。
「で、なんでここ?」
美術室。
「俺、美術室のなんとも言えない匂いが好き!」
「きも。」
「おい!」
「…」(なんかこの会話、凄いデジャヴ感…。)
この時間、美術室は誰も使っていない。
「なぁ春樹。中学の頃さ、自画像って描かなかった?」
「…確か、描いたよな?」
春樹が私に聞いてきた。
「うん。でも春樹、途中で嫌になってやめちゃったじゃん。で、放課後に残ってやらされてた。」
「ははっ!何それだっせぇ!」
「翔真。」
「…ゴメンって、ゴメン。だからその彫刻刀、置いてください。お願いします。」
彫刻刀を翔真に向けていた春樹。今にでも刺してしまいそうで怖かった。
「そういえば、春樹が不良になったのっていつからなんだ?」
「う~ん…中学の頃は全然怖くなかったんだよね。高校になってから?」
「えっ!?もしかしてお前、高校デビュー!?ははははっ!!」
「翔真。」
「ひぃっ…ご、ゴメン、ゴメンなさい、許してください。」
また彫刻刀を翔真に向けていた。
「!…こ、この際だからさ、みんなの昔話、それぞれ話そうぜ?」
「あっ!それ、いいね!」
「お、おう…//////」
皆がテーブルを挟んで座った。